肺がん治療の未来を変える遺伝子検査の進展と課題

がん情報サイト「オンコロ」のコンテンツマネージャーの柳澤です。


今回は、オンコロにも関わっていただいている肺がん体験者の長谷川一男さんが提案した調査が論文として発表されたことをご紹介します。この調査では、肺がんの治療法と特に「遺伝子検査」の重要性について説明されています。


Patient-Initiated Nationwide Survey on Testing for Actionable Oncogenic Drivers in Non-Small Cell Lung Cancer in Japan
筆頭著者・池田 慧氏:神奈川県立循環器呼吸器病センター呼吸器内科 医長


遺伝子検査の進展について

近年、がん治療は着実に進歩しており、特に肺がんの治療法は大きく進展しています。その中でも、複数の遺伝子を調べる検査が普及していることが、最近の調査で明らかになりました。株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンと一般社団法人アライアンス・フォー・ラング・キャンサーが協力し、医療ビッグデータを使って、非小細胞肺がん患者さんに対する遺伝子検査の現状を調査しました。

遺伝子検査がもたらす治療の進歩

調査結果によると、2019年から2022年にかけて、肺がん患者さんに対する遺伝子検査を受ける割合が大きく増えたことがわかりました。特に注目すべきは、「ドライバー遺伝子」というがんの発生に関わる遺伝子を同時に複数調べる検査が普及したことです。これにより、患者さん一人ひとりに合った治療が効率よく選べるようになった点が挙げられます。


遺伝子検査を受けることで、患者さんにとって最適な治療法を見つけることができ、分子標的薬などの治療がより効果的に働く可能性があります。このことにより、治療の精度が上がり、副作用の軽減も期待されます。

まだ解決すべき課題

しかし、調査結果では、遺伝子検査を受けていない患者さんも一定数いることがわかりました。遺伝子検査が十分に普及していない施設や、患者さんがその重要性を十分に理解していないこともあるため、これを解決するには、医療現場での遺伝子検査の重要性をもっと広める必要があります。医師や専門家が患者さんへ適切に説明し、理解を深めてもらうことが大切です。

遺伝子検査が社会にもたらす影響

遺伝子検査が普及することで、肺がんの治療精度が向上するだけでなく、がん全体の治療法にも良い影響を与えると期待されています。遺伝子検査を元にした治療法は、早期に有効な治療法を選ぶことができるため、患者さんの回復が早くなる可能性もあります。


さらに、遺伝子検査は医療費の削減にもつながる可能性があります。患者さん一人ひとりに最適な治療を選ぶことで、無駄な治療を避け、医療リソースを効率的に活用することができると考えられています。

今後の課題と期待

遺伝子検査がさらに広がれば、肺がんに限らず、さまざまながんに対して個別化治療が進み、より効果的な治療法が見つかると考えられます。しかし、そのためには、遺伝子検査をもっと多くの患者さんに受けてもらうための取り組みが必要です。医療従事者、患者さん、社会全体が協力して、遺伝子検査の重要性を理解し、その普及を進めていくことが求められます。

最後に

遺伝子検査は肺がん治療に大きな影響を与え、今後ますます重要な役割を果たしていくことが期待されています。この調査結果を受けて、より多くの患者さんが遺伝子検査を受け、その結果に基づいた治療が行われることが期待されます。今後も医療従事者による啓発活動や患者さんへのサポートが欠かせません。


当サイト「オンコロ」では、肺がんに関するさまざまな情報や動画コンテンツを提供しています。これらのコンテンツが、皆さんの治療や生活に少しでも役立つことを願っています。

柳澤

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