こんにちは。オンコロの川上です。
いつもサイトをご視聴いただき、ありがとうございます。
今回は、肺がん患者会ができるようになった背景について思いを馳せてみました。
現在、全国で活動する肺がんの患者会は、私が把握しているだけでも20近くあるのではないかと思います。
私は20年前、大学病院の病棟看護師として臨床に携わっていましたが、当時、肺がんの患者会はありませんでした。私の病棟は放射線科でしたので、化学放射線療法のため入院している肺がん患者さんにも多く出会いました。
治療を頑張っていた多くの患者さんたちが、残念ながら半年以内に亡くなっていきました。
亡くなってしまうから、患者会を作れる人、活動する人がいなかったのだと思います。
当時、2002年頃の化学療法は、イレッサが肺がんに承認になったばかりの頃で、まだプラチナ系が中心でした。
*プラチナ系の抗がん剤については、中川先生と瀬戸先生の究極の対談、THE ULTIMATE シリーズ1 【プラチナ製剤(シスプラチン) 】をぜひご視聴ください!
でもそれから、イレッサをはじめとして、肺がんの遺伝子変異に対応する分子標的薬が次々と使えるようになり、免疫チェックポイント阻害剤も加わって、肺がんは、以前よりも格段に長く向き合えるようになりました。薬剤の進歩は、患者会の設立に大きく貢献した背景の一つだと思います。
2015年に、皆さんもご存知の長谷川一男さんが、肺がん患者会「ワンステップ!」を立ち上げました。同時期に全国各地に肺がんの患者会活動が生まれ、長谷川さんによってこれらの会が「日本肺がん患者連絡会」という形で連携できる体制が整えられました。
同時にこの頃、日本肺癌学会では2014年11月の第55回日本肺癌学会学術集会(大会長は中川和彦先生)で患者・家族向けプログラムが開催され、2015年には、学会内に広報等を担う「肺がん医療向上委員会」が組織されるなど、アカデミアでも患者さんたちの活動をサポートする動きが出てきたのです。
この頃は、他にも、スキルス胃がん患者会である「希望の会」、子どもを持つがん患者の会「キャンサーペアレンツ」、希少がんである腺様嚢胞がん患者会「チームACC」、等、他のがん領域でもさまざまな団体が立ち上がっています。これには、私と柳澤が当時関与していたNPO法人キャンサーネットジャパンが2014年に初めて開催したAKIBA Cancer Forum 2014(現在のJapan Cancer Forum)も貢献しているのではないかと自負しています。
そして、オンコロがオープンしたのも、2015年です♪
インターネットの多様化、FacebookなどのSNSの発展による繋がりの拡がりも見逃せないでしょう。
患者会の機能は、「仲間と出会い、繋がり、分かち合う」、から、「仲間を支える」、そして「社会へ発信し、社会を変えていく」と多岐に発展しつつあります。
当サイトも、これから患者さんたちとももっと連携して発信できたらいいな、と思っています。今後にどうかご期待ください!
川上