講演タイトル:『肝臓がん』
演    者:池田 公史 先生(国立がん研究センター東病院 肝胆膵内科長)
日    時:10月26日(金)
場    所:日本橋ライフサイエンスビルディング3F 313会議室

今月は、肝臓がんをテーマにご来場頂きました。

クローズドセミナーであるため全ての情報は掲載できませんが、ポイントとなる情報をお伝えしていきます。

今回は、肝臓がんの中でも肝臓の中から発生したがんである原発性肝がんについて、「肝臓がんの基礎知識」、「肝臓がんの局所療法」、「肝臓がんの薬物療法」を中心にご講義頂きました。

肝臓がんの基礎知識

肝臓がんの死亡数は、膵がんに次ぐ5番目に多いがんになりますが、近年減少傾向となっております。これは、輸血などで肝炎による水平感染が起こらなくなったこと、肝炎のコントロールが良好になったこと、そして、多くは肝炎から発症する高リスクの人に定期的な検査などで早期発見ができているためです。

肝臓がんの組織型は肝細胞がんが90%以上を占めており、その多くはB型・C型肝炎から発生することが多いそうです。しかし、近年非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)からの発症も増加傾向にあるそうです。


「肝細胞がんの検査方法」

肝細胞がんの治療方針は、がんの進行度による病期分類のみではなく、肝機能を考慮する必要があり、肝障害の評価も重要です。


「肝障害度・Child Pugh分類」

肝臓がんの局所療法

肝細胞がんの治療法は、切除・局所穿刺療法(RFAなど)・肝動脈化学塞栓療法TACE)・肝移植放射線治療・全身薬物療法・などがあり、これらの治療を駆使した集学的治療が行われています。

他のがん種では、手術・抗がん剤・放射線が治療の三本柱ですが、肝臓がんでは有効な局所療法があるのも特徴です。


「肝細胞がんの治療法」

肝臓がんの薬物療法

肝臓がんの薬物療法には肝動注化学療法と全身薬物療法があります。

肝動注化学療法は肝動脈から抗がん剤を投与し、がんの縮小を期待する治療法です。肝動脈化学塞栓療法(TACE)が困難、または治療抵抗性の方などが対象となります。

肝細胞がんに対する肝動注化学療法は、ランダム化比較試験で延命効果が示されておらず、標準治療としては位置づけられていません。
しかし、良好な腫瘍縮小効果・生存期間延長が報告されているため、日本ではよく行われている治療です。

全身薬物療法は、全身に薬物を投与し、がんの増大の抑制を期待する治療です。
分子標的薬治療の進歩が目覚ましく、初回治療としてソラフェニブとレンバチニブ、ソラフェニブ不応の患者にレゴラフェニブが承認されています。

今後、カボザンチニブ、ラムシルマブも良好な治療成績が報告され、日本での承認が期待されています。
また、近年免疫チェックポイント阻害剤(ニボルマブペムブロリズマブなど)も期待されており、免疫チェックポイント阻害剤との併用療法も登場し、薬物の開発が盛んになり薬物療法の治療成績が急速に向上しているそうです。

局所療法から薬物療法の時代へ、新薬によるパラダイムシフトになっており、薬物が増える事で肝動脈化学塞栓療法(TACE)のみに頼らず、生存率も上がるようになるそうです。

また、質疑応答では、肝臓がんを予防する方法は何か、ソラフェニブの副作用コントロールについて徹底されていると聞いたが、どのような事をしているのか、またチーム医療として普及するためにどんな事ができるのか、治療をやめるべきタイミングは、などの質問が挙がりました。

肝臓がんを予防する方法については、肝炎がある方は肝臓を悪くする因子を控える事が大切だそうです。飲酒などがこれにあたりますが、週に1-2回ワインやビールを1杯飲むなど、嗜む程度は良いと仰いました。

しかし、一番は定期的な検診や受診が最大の予防です。肝炎がない場合は、ある方の予防よりさらに難しいそうです。

ソラフェニブの副作用コントロールについて、具体的には例えば手足症候群では予防的に化学療法の一週間前から手足にクリームを塗りこみ、角質を減らします。手足症候群は角質があると発症しやすいと言われており、これを防ぐ為の処置です。

さらに、薬剤師と在宅でも連絡が取れる、病院からも連絡をして近況を伺ったりと連携マネジメントもしているそうです。

またチーム医療として普及するために取り組んでいることを教えていただきました。現状では時間外の勉強会など、モチベーションの高い人の集まりで成立しているそうです。保険診療報酬がつかない為、ボランティアとなっています。

そこで、点数がつくなど国の制度として変化があれば、この取り組みは広がるのではないか、と先生は仰いました。
患者の立場では、勉強会でメディカルスタッフなども集まり、お互いにスムーズなマネジメントをすると良いのではないか、と提案されました。

副作用で、治療をやめるべきタイミングは、判断は難しいそうです。先生は、中止ではなく、休止がよいと提案されました。休薬して体力の回復を狙います。しかし、患者さん自身も言いづらいこともあるので、看護師などが診察前に聞き取りなどをして、医師が採血などの検査結果も考慮し、判断します。

治療は、細く長くすることが大切で、相談すれば色んな人から色んな方法で乗り切れます。

当日ご聴講された方々より、「新薬の開発により、がん=死ではない時代になってきており、とても驚いた」「すばらしいチーム医療体制、病院の努力に感動した」「今後の治療にまだまだ希望が持てると思った」など、多くのご感想が寄せられました。

先生がご提示してくださった臨床試験の結果には、先週のヨーロッパ臨床腫瘍学会でのもの、という最新の情報もあり、とても興味深く聴講できました。

最後に、先生は「肝炎がコントロールでき、患者は減り、薬物も増えている。情報収集をし、いろんなセカンドオピニオンを知ることが大切」とアドバイスをくださいました。

池田先生、ご参加された皆様、本当にありがとうございました。

(赤星)

11月22日(木)は、がん研有明病院 消化器化学療法科 部長 山口 研成 先生をお迎えし、『胃がん』をテーマにご講義いただきます。

次回は通常と異なり木曜日開催です。ご注意ください。会場は「日本橋ライフサイエンスハブ8F D会議室」です。皆様のご参加をお待ちしております。

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