前立腺がんの進行期について

前立腺に限局した段階から遠隔転移のある段階まで複雑に分類され、がんの悪性度も9段階に細かく分類されます。

病期は主にTNM分類で判断される

前立腺がんは、「どのぐらい進行しているのか」(病期)と「どのぐらい悪性であるか」(悪性度)によって分類されます。

まず病期は、TNM分類に基づいて判断されるのが一般的です。T(tumor)は「がんが前立腺のなかにとどまっているか、それとも周囲の組織や臓器にまで広がっているか」、N(nodes)は「リンパ節転移があるかどうか」、M(metastasis)は「離れた組織や臓器への転移があるかどうか」を表します。例えば「T2N0 M0」なら、「がんは前立腺に限局しており、リンパ節転移も遠隔転移もない」という意味です。

前立腺がんの悪性度について

悪性度を判断するグリーソン分類

前立腺がんの細胞には、正常な細胞に近くて進行が遅いもの(高分化腺がん)と、正常細胞からかけ離れた性質の悪いもの(低分化腺がん)、そして両者の中間に位置するもの(中分化腺がん)があります。この組織型は、5段階に分けられています。グレード1が最もおとなしいがん、グレード5が最も悪性のがんです。

ただし述べたように、前立腺がんはしばしば同じ前立腺のなかに悪性度の異なるがんが発生します。そこで、生検で採取したがん細胞の組織構造を調べ、最も面積の大きい組織型と2番目に大きい組織型のグレードを足して、悪性度の判定に用います。これがグリーソン・スコアと呼ばれるもので、グレード3とグレード4の組織があれば、スコアは3+4=7になります。つまり悪性度の最も低いスコア2から、最も高いスコア10まで、9段階に分類されるわけです。

治療方法を決めるときには、進行度だけでなく、この悪性度も非常に大切な情報です。経過の多様ながんであるため、TNM分類、グリーソン・スコア、PSA値などを組み合わせて再発の可能性や生命予後などを推測するリスク分類も何種類か考案され(NCCN分類など)、臨床の場で参考にされています。

寿命に影響を及ぼさないがんもある

前立腺がんのなかでも、特に悪性度の低いものは進行も遅く、生命に影響を及ぼさないことが少なくありません。がん以外の病気で亡くなった男性を解剖すると、70歳を超えた人の20~30%、80歳を超えた人の30~40%が、前立腺がんを持っているといわれます。

このように解剖によって初めて見つかるがんを「ラテントがん」と呼びます。そのほとんどが、おとなしい高分化腺がんです。その一方で、進行の速いがんもあるので、自分のがんがどういう性質なのかをよく知って、治療を選択する必要があります。

本コンテンツは認定NPO法人キャンサーネットジャパンが出版する「もっと知ってほしい前立腺がんのこと」より抜粋・転記しております。