中皮腫とは

中皮腫は、胸膜、腹膜、心膜、きわめてまれに精巣鞘膜(腹膜鞘状突起の遺残物で、精巣と精巣上体周囲の漿膜)の内面と、その腔内(胸腔内や腹腔内)の諸臓器の表面を覆う中皮細胞に由来すると考えられる腫瘍です。

中皮腫の詳細・症状について ▼

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中皮腫とは

以前は中皮癌という表現も使われていましたが、現在は悪性中皮腫または単に中皮腫と呼ばれます。

発生部位別に、胸膜中皮腫(85.5%)、腹膜中皮腫(13.2%)、心膜中皮腫(0.8%)、精巣鞘膜中皮腫(0.5%)に分けられ、後者2種類はきわめてまれです。肺や腹腔内臓器の表面を囲むように、びまん性に広がります。

アスベスト(石綿)の曝露に関連があり、男性に多く発生します。多くの疫学的研究から、1970年代の初頭にはアスベストの発癌性と中皮腫との因果関係が確立しました。

アスベストの大量消費から40年以上が経過し、アスベスト発癌の長い潜伏期間(30~40年)が過ぎようとする現在、かつてはまれな腫瘍だった中皮腫は世界的に急増しています。中皮腫による国内の死亡者数は2006年に1000人を超え、2015年には年間1500人を超えました。

中皮腫は、アスベストがきわめて低濃度な一般環境での曝露でも発生するため、一般住民を対象にしたアスベスト検診が始まっていますが、中皮腫の効果的な検診法、早期診断法の樹立が緊急の課題となっています。

一方で、高濃度で曝露すると中皮腫の発生確率が高くなるというわけでもなく、アスベスト高濃度曝露群の発生率は10~20%であり、80%近くには発生がみられないこと、中皮腫には海外で多発家系がみられることなどから、アスベストに対する感受性を規定する遺伝的素因があるのではないかとも考えられています。

中皮腫は、組織形態学的には上皮型、肉腫型、豊富な膠原線維を伴う線維形成型(肉腫型の亜型)、上皮型と肉腫型が10%以上ずつ混在する二相型(混合型)の4種に区別され、線維型は特徴がないために診断が困難です。

中皮腫の症状

胸膜中皮腫では、呼吸困難や非胸膜性胸痛の症状が現れることが多く、全身症状は受診時には一般的ではありません。胸壁やその他の隣接構造物に浸潤がある場合は、激しい痛み、嗄声(させい)、嚥下障害、ホルネル症候群、上腕神経叢障害、腹水の原因となることがあります。患者の最大80%に胸郭外への広がりがみられ、その場合は、肺門リンパ節、縦隔リンパ節、肝臓、副腎、腎臓などに広がることが一般的です。

アスベスト肺に合併します。初発症状は息切れ、胸痛、咳、胸水による胸部圧迫感などで、疾患が進行するにつれて胸痛が強くなります。患者さんは息切れや漠然とした胸痛、体重減少などを主訴に来院することが多く、胸水が血性になることもありますが、血性胸水は比較的少なく40%以下です。胸水そのものでは症状は出ませんが、大量の胸水によって肺が圧迫されたり、胸水によって炎症が胸膜に広がることで各種の症状をきたします。肺癌とは異なり、初期に血痰がみられることはありません。

その他の症状として、腰痛、食欲低下、排便異常、腹部のしこりなどがみられます。いずれの症状も、この疾患に特徴的なものではないため、早期発見・診断が難しい病気です。

心膜中皮腫はタンポナーデを引き起こし、脊柱、隣接する軟組織や脳に転移することがあります。心膜中皮腫では心膜炎やタンポナーデの症状がみられます。

参考資料:
呼吸器疾患 (コメディカルのための最新医学講座 第2巻)(2005)
Medical Technology 2009年2月号
Dr.レイの病理学講義(2012)
レジデントのための呼吸器内科ポケットブック(2012)
呼吸器疾患 ―state of arts―Ver.6(別冊・医学のあゆみ)(2013)
胸膜全書(2013)
メルクマニュアル第18版
ワシントンがん診療マニュアル第2版
トートラ人体解剖生理学原書第9版
都道府県(21大都市再掲)別にみた中皮腫による死亡数の年次推移(平成7年~27年) 人口動態統計(確定数)より http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/chuuhisyu15/

中皮腫の疾患情報

中皮腫の検査と診断

中皮腫は、臓器ではなく体腔の中で発生し、膜表面上をびまん性に進展するという特殊性のため、診断が難しい病気です。そのため、身体所見をはじめ、画像検査、胸水検査や胸膜生検の結果から複合的に診断します。

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中皮腫の種類と分類

体外に直接開いていない体内の腔所(体腔)の内面と、体腔の中にある器官(内臓)の表面は、薄い膜で覆われています。胸膜、腹膜、心膜などがあり総称して漿膜と呼ばれます。このような漿膜の上皮層を形成する単層扁平上皮を中皮といいます。

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中皮腫の治療選択に至るまで

悪性中皮腫は治りにくく治療が難しい病気の1つで、治療法はまだ確立されていません。治療は、外科療法(手術)、放射線療法、化学療法抗がん剤)などがあります。どのような治療を行うかは、病状(病期)や全身状態を考慮して決定されます。

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中皮腫の治療 -手術(外科治療)-

胸膜中皮腫では、片側の肺のすべて、外側の胸膜(壁側胸膜)、横隔膜などをまとめて取り除く大きな手術をします(胸膜肺全摘術)。また、外側の胸膜を切除し、がんで厚くなった内側の胸膜をはぎ取る手術もあり、この場合は肺は残ります。手術の前に抗がん剤治療を行うこともあり、手術後の再発を予防するために放射線治療を行うこともあります。根治的外科切除成績は5年生存率が約15%とされています。

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中皮腫の治療 -化学療法-

化学療法は、薬剤を用いてがん細胞を殺すかまたは細胞分裂を停止させることでがん細胞の増殖を停止させるがん治療のことです。口から服用したり、筋肉や静脈内に注入する化学療法では、薬剤は血流を通って全身のがん細胞に影響します(全身化学療法)。脳脊髄液、臓器、腹部などの体腔に薬剤を直接注入する化学療法では、薬剤は主にこれらの領域中にあるがん細胞に影響します(局所化学療法)。

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中皮腫の再発・転移

中皮腫の場合、以前効果があった抗がん剤や今まで用いたことのない抗がん剤を使用した治療を行うこともありますが、症状を抑える緩和医療(緩和ケア)を優先する場合も少なくありません。再発といってもそれぞれの患者さんでの状態は異なります。それぞれの患者さんの状況に応じて治療やその後のケアを決めていきます。

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