気管支鏡生検と経皮的生検
ドライバー遺伝子の有無をみるEGFR遺伝子検査、ALK遺伝子検査、ROS1遺伝子検査、BRAF遺伝子検査、PD-L1検査には、手術中に、あるいは確定診断のための生検によって採取したがんの組織を使います。EGFR遺伝子検査は、血液での検査が可能ですが、補助的な位置づけで生検が必要なことに変わりはありません。生検は、針やメスでがんの組織を採取する方法です。肺がんの生検の方法には、主に、気管支鏡生検、CTやX線透視の画像を見ながら行う経皮的生検、胸腔鏡生検、胸水穿刺細胞診などがあります。
気管支鏡生検は、鼻や口から気管支鏡と呼ばれる内視鏡を挿入し、腫瘍のある部位の細胞や組織を採取する検査です。喉や気管支の痛みを軽減するため、局所麻酔をかけて行います。気管支鏡による検査が難しい場合や、気管支鏡生検で組織が採取できなかったときには、CTなどの画像を見ながら行う経皮的生検を行います。局所麻酔をし、画像で腫瘍の位置を確認しながら、皮膚の上から肺に針を刺してがんの組織を採取します。気胸や出血などの合併症を起こすことがあるので、慎重に行うことが大切です。
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胸腔鏡生検と胸水穿刺細胞診
胸腔鏡生検は、気管支鏡生検や経皮的生検で組織が採取できなかったときなどに実施する生検法です。胸に小さな穴を3カ所あけ、胸腔鏡と手術器具を挿入して、画像を見ながらがんの組織を採取します。局所麻酔か全身麻酔をした状態で実施します。
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胸水とは、肺がんの症状の一つで、胸腔に水がたまった状態のことです。胸水がたまっているときには、局所麻酔をしたうえで皮膚の上から肺に針を刺して胸水を採取する胸水穿刺細胞診(胸腔穿刺)を行うこともあります。胸膜生検は、局所麻酔をして皮膚から胸膜に針を刺し、がんの組織を採取する方法です。胸水穿刺を繰り返し行っても判断がつかないときに行います。遺伝子検査やPD-L1検査には、多くの場合、肺がんの確定診断のために採取した組織や手術で採取した組織を使いますので、改めて生検を受ける必要はありません。
ただし、最初の生検で採取した組織では量が足りなかったり、薬物療法を行って薬が効かなくなったりしたときには、改めて生検を行う必要が生じることがあります。薬が効かなくなったときに生検が必要になるのは、薬物療法の影響で、がん細胞の表面に発現している遺伝子が変化することがある からです。生検は、痛みや息苦しさを感じることもある検査ですが、自分のがんのタイプに合った最適な治療を受けるために重要な検査であることを知っておきましょう。
※この内容は「肺がんの薬物療法を受ける患者さんのための本」より引用/編集しました。