手術(外科治療)

頭頸部がんの手術は、機能・臓器の温存を念頭に、がんの種類、発生場所、広がり、深さ、リンパ節転移の有無などから、根治性が高い方法が選択されます。必要に応じて、機能・臓器の修復を目指す再建手術や代用音声などの対策が講じられます。

頭頸部がんの手術は、「経口的なアプローチ(口から直接行える)の手術か/そうでないか」に大きく分けられます。経口的なアプローチができない場合、「切除範囲が小さいか/大きいか」「喉頭を温存するか/しないか」「リンパ節転移があるか/ないか」などで手術の方法が異なります。切除範囲が大きい場合には、欠損した機能・臓器を回復させるために組織移植などの再建手術が必要になります。

喉頭を温存しない場合には、喉頭全摘により失声状態になるため、代用音声(食道発声や器具を用いた発声など)が必要になります。リンパ節転移がある場合は、リンパ節郭清術、あるいは頸部郭清術も行われます。なお、退院までの期間は、経口的なアプローチの手術では約1~2週間、再建手術が必要な場合は早くても1か月はかかります。

早期の中・下咽頭がんは経口的に手術

中咽頭がんのうち、早期の側壁(扁桃腺を中心とした部分)がんでは、扁桃腺摘出に準じて経口的にがんを切除することが可能です。下咽頭がんでも、上部消化管内視鏡検査で偶然に発見されたごく初期の場合には、内視鏡による切除が行われることがあります。

進行した舌・中咽頭がんでは再建手術も

舌がんでは、がんの大きさや部位により舌部分切除、舌半側切除、舌(亜)全摘のいずれかの術式が選択されます。舌(亜)全摘や一部の舌半側切除では、術後に食事摂取や会話が難しくなるため、体のほかの部分(腹直筋や前腕など)から皮膚組織を移植する再建手術が行われます。広範囲の切除が必要な中咽頭がんの場合も、術後の誤嚥、食べ物や水分の鼻への逆流などが問題になるため、再建手術が行われます。

喉頭全摘では代用音声が必要に

喉頭がんの代表的な手術には、初期がんに行われる「喉頭部分切除術」と進行がんの多くに行われる「喉頭全摘術」があります。下咽頭がんの手術は、がんが下咽頭にとどまっているか、喉頭へ広がっていても軽い場合に喉頭を温存(一部切除)する「下咽頭部分切除術」と、進行がんの場合に喉頭を全部切除する「下咽頭喉頭頸部食道摘出術」に大きく分けられます。

喉頭部分切除術と下咽頭部分切除術は、喉頭の一部切除により、術後に声のかすれが残ることもありますが、日常生活にあまり問題はありません。一方、喉頭全摘術、下咽頭喉頭頸部食道摘出術では、気道と食道は独立した管になるものの、鼻や口に空気が通らないため、においをかいだり、鼻をかんだりできなくなります。

また、気管孔は一生閉じることができず、胸までしか入浴ができないなど日常生活に不自由が生じるほか、喉頭全摘により声を失うために代用音声が必要になります。下咽頭喉頭頸部食道摘出術では、空腸(小腸の一部)を用いた再建手術も必要になります。

本コンテンツは認定NPO法人キャンサーネットジャパンが出版する「もっと知ってほしい 頭頚部がんのこと」より抜粋・転記しております。