頭頸部がんのステージ(病期)

頭頸部がんの病期は0~Ⅳ期まであり、がんの広がり(T)、リンパ節転移の有無(N)、他臓器への転移(M)の3つの項目によって決められます(TNM分類)。頭頸部がんの多くは、診断時にⅢ~ⅣA期に進行していることが少なくありません。病期とは、がんの進行の程度を示す言葉で、ステージともいいます。

頭頸部がんの病期は、0期、Ⅰ期、Ⅱ期、Ⅲ期、Ⅳ期(ⅣA、ⅣB、ⅣC)に分類されています。

病期は、
①もとのがん(原発巣)がどこまで広がっているか(T分類)
②首のリンパ節転移の有無やその大きさ、片側か両側か(N分類)
③別の臓器への転移の有無(M分類)

の3項目によって決められます(TNM分類)。例えば、咽頭がんや喉頭がんでは、がんの発生部位によってT分類が異なるなど、頭頸部がんの種類によってT分類、N分類、M分類は細かく決められています。

中・下咽頭がん、喉頭がん、舌がんに関しては、おおむねⅠ期、Ⅱ期はリンパ節への転移がなく、Ⅰ期は原発巣が極めて小さい場合です。Ⅲ期は原発巣が大きいか、リンパ節1カ所に転移がみられる場合、ⅣA期はリンパ節2カ所以上に転移がみられる場合、ⅣB期はがんが首にある動脈(内頸動脈)や頭の骨(頸椎など)にまで広がっている場合、ⅣC期はほかの臓器に転移がみられる場合です。

Ⅰ期、Ⅱ期は早期がん、Ⅲ期、Ⅳ期が進行がんです。舌がんはともかく、咽頭がんなどほかの頭頸部がんは見えにくいため、症状が現れるまで気づきません。最近では、上部消化管内視鏡検査の機器や手技の発達により、下咽頭がんは早期に発見されるようになってきたものの、頭頸部がんは原発巣が小さくても早期にリンパ節転移を来すため、診断時にⅢ~ⅣA期に進行していることが多いのが特徴です。

頭頸部がんの治療法

頭頸部がんの治療としては、主に手術、放射線療法、薬物療法が行われます。治療方針は、治療効果と機能・臓器温存の両立を目指し、がんの種類、病期、患者さんの年齢、持病や社会的背景などを考慮し、個々の状況に応じて決定します。

頭頸部がんの主な治療法には、手術、放射線療法、薬物療法があります。これらのうち、どの治療法を中心にするか、単独で、あるいはいくつかを組み合わせて行うかは、がんの種類や病期に基づいてガイドラインで推奨されています。

中・下咽頭がんや喉頭がんでは、Ⅰ~ⅣA期までは手術、放射線療法、あるいは薬物療法と放射線療法を併用する化学放射線療法のいずれも選択肢となりえますが、ⅣB期になると手術は極めて難しく、一部の患者さんを除いては、原則、ⅣC期と同様に放射線療法、化学放射線療法を中心として治療が組み立てられます。舌がんは手術が主となります。

頭頸部がんの標準治療は個別化治療

頭頸部には人が生きるため、社会生活をおくるために、容貌を含めて重要な機能が集中しています。そこで頭頸部がんの治療は、がんの種類、病期、年齢、ほかの病気の有無などに加え、職業のような社会的背景なども考慮し、個々の状況に応じた治療法を選ぶことが大切になります(個別化治療)。

最近は、がんや治療によって生じた欠損部を修復し、本来の形や機能を回復する再建手術が進歩し、高い治療効果を得るとともに、容貌や機能をできる限り残し(機能・臓器温存)、QOLを維持できるようになってきています。

例えば、中咽頭がんの治療は、従来、外からの切開による切除が中心でしたが、最近では口から行う低侵襲の切除手術や化学放射線療法などの機能・臓器を温存する治療が主体となってきました。

このように治療の個別性が高いことから、さまざまな治療法を提案できる施設で、専門医から治療の長所、短所を含めて十分な説明を受け、理解したうえで、治療法を選ぶことが大切です。今後の生活に関わる大きな選択ですから、理解できないことがあれば繰り返し担当医に聞きましょう。

本コンテンツは認定NPO法人キャンサーネットジャパンが出版する「もっと知ってほしい 頭頚部がんのこと」より抜粋・転記しております。