胃がんのステージ(病期)

胃がんの病期は、治療前の検査によりがんが胃壁に潜り込んでいる程度(深達度)とリンパ節や他臓器への転移の状態などで判定されますが、手術後の病理検査によって確定されます。治療方針は、病期に応じて決められています。「病期(ステージ)」とは、がんの進み具合を分類したものです。胃がんでは、病理検査(生検)により確定診断が行われると、内視鏡検査や腹部CT検査、腹部超音波検査などの結果から総合的に評価・判定し、Ⅰ期(ⅠA、ⅠB)、Ⅱ期(ⅡA、ⅡB)、Ⅲ期(ⅢA、ⅢB、ⅢC)、Ⅳ期の8段階に分類します。

深達度や転移の有無から病期を判定

最初に「がんが胃壁のどのぐらいの深さまで入り込んでいるか(T:深達度)」という観点から早期胃がんと進行胃がんに分類します。これらはがんの進み具合を具体的に示すものではなく、早期胃がんとは、がん細胞が粘膜層内または粘膜下層までにとどまり、転移の可能性が低く、病変を適切に切除することにより完治する頻度が高いことを意味しています。

一方、進行胃がんとは、がん細胞が固有筋層まで達している、あるいは固有筋層を越えて浸潤しリンパ節転移や他臓器転移の頻度が比較的高いことを意味します。この2つの分類に加え、胃の周辺のリンパ節(領域リンパ節)に何個転移しているか(N:リンパ節転移の広がり)、離れたほかの臓器への転移があるか(遠隔転移)などの要素を組み合わせ、病期を決めていきます。

Ⅲ期までは手術による根治が期待できる

早期胃がんのほとんどがⅠA期、ⅠB期で、病変を適切に切除すれば、治る可能性がきわめて高い病期です。なかでもⅠA期の約半数の患者は内視鏡治療で治ることが期待できます。Ⅱ期は少し進んだ胃がんですが、手術によって治る可能性が高く、Ⅲ期はさらに進行していますが、まだ手術によって治る可能性が十分にある病期です。

『胃癌治療ガイドライン』(日本胃癌学会編)では、遠隔転移の有無(M0、M1)、深達度(T1a~T4b)、リンパ節転移の有無(N0、N+)などから判断されるがんの進み具合(病期)に、がん細胞の増殖の仕方(分化型、未分化型)やがんの大きさなどを加味し、適応となる胃がんの標準治療を推奨しています。なお、標準治療とは現時点で良好な効果が出る可能性が最も高い治療法です。

粘膜層内のがんの治療

リンパ節転移がなく(N0)、がんが粘膜層にとどまっている(T1a)もの(ⅠA期)で、大きさが2cm以下の分化型であり、潰瘍やその傷跡がない早期胃がんは、内視鏡治療の適応となり、『胃癌治療ガイドライン』では「絶対適応病変」と定義されています。

それ以外でもガイドラインで「適応拡大病変」(①がんが粘膜層にとどまっていて、大きさが2cmを超える分化型であり、潰瘍やその傷跡がないもの、②がんが粘膜層にとどまっていて、大きさが3cm以下の分化型であり、潰瘍やその傷跡があるもの、③がんが粘膜層にとどまっていて、大きさが2cm以下の未分化型であり、潰瘍や傷跡がないもの)と定義される早期胃がんであれば内視鏡治療で治る可能性がきわめて高いといえます。

ただし未分化型は、がんが小さくても潰瘍性の変化を伴うとリンパ節に転移することがあるため、内視鏡治療の適応には慎重を要します。また、適応条件にかかわらず手技の困難さや患者の手術リスクに応じて、手術と内視鏡治療を個別に検討する必要もあります。

粘膜下層より深いがんの治療

がんが粘膜下層にとどまっていてリンパ節転移を疑わない場合(ⅠA期)には縮小手術が行われます。がんが固有筋層あるいはそれ以上の深部に達している場合は、検査でリンパ節転移がないと診断されても、転移している可能性が40%以上見込まれるため、一定範囲のリンパ節を切除する(郭清)定型手術を、胃壁を越えてほかの臓器に広がっているT4bでは、巻き込まれた臓器と一緒に胃を切除する拡大手術を行います。

離れたリンパ節や肝臓、肺などに転移しているⅣ期では、薬物療法による治療が行われます。また、胃がん病巣から出血したときや幽門狭窄を起こしたときは症状緩和のための手術を行います。

本コンテンツは認定NPO法人キャンサーネットジャパンが出版する「もっと知ってほしい胃がんのこと」より抜粋・転記しております。