食道がんの転移

転移とは、がん細胞がリンパ液や血液の流れに乗って別の臓器に移動し、そこで成長することをいいます。がん細胞を外科手術療法で全て切除できたようにみえても、その時点ですでにがん細胞が別の臓器に移動している可能性があります。

外科手術療法をした時点では見つけられなかったがん細胞が、時間が経過してから転移として見つかることがあります。食道がんで多いのは、リンパ節、肺、肝臓などの臓器や骨への転移であるといわれています。

食道がんは、初回の治療が外科手術療法であれ、化学放射線療法であれ、目視できないがん細胞が残ってしまう可能性は十分あり、その確率は30~50%といわれています。

食道がんが再発したときの症状は、転移部位によって異なります。、食道がんが肺に転移した場合は、咳が続く、胸部に痛みを感じることなどが起こります。肝臓へ転移した場合には、腹部の周辺に張りを感じられることがあります。

また、骨へ転移した場合には、その転移した周辺に痛みを感じます。気管や肺に転移した場合には、長引く咳や血痰が出たりすることがあります。また、食道付近の神経にがん細胞が浸潤すると、声がかすれるという症状が現れることがあります。しかし、これらの症状が必ず現れるわけではなく、自覚症状を感じることには、がんが進行している場合が多いと言われています。

しかし、これらの症状は必ずしもすべての人に現れるものでありませんし、明確な自覚症状が現れるころには、がんが進行してしまっているケースがほとんどだと言われています。最初の治療後から定期検査を確実に受け、たとえ再発・転移をしてしまったとしても早期に発見し治療をすることが何よりも大切です。

食道がんの再発

再発とは、がん細胞を治療により目視できない大きさまで縮小させたのちに、再びがん細胞が出現することをいいます。最初の治療で完全に縮小、消失したように見えても、わずかに残っていたがん細胞が増殖して症状があらわれる、検査で発見されるようになった状態です。

再度外科手術療法を行うことはまれで、化学療法による治療を行うことが一般的です。ひとことに再発といっても、それぞれの患者さんでの状態は異なります。転移が生じていることが発見された場合には、今後の治療方針を患者さんの状況に応じて決めていきます。

日本の食道がん根治手術後の再発は30~50%に認められ,欧米諸国の報告では50%以上の再発が報告されています。再発の形式は,リンパ節、局所再発が20~70%に、遠隔臓器転移が10~50%に生じ、両者が複合した再発も7~27%にみられています。リンパ節再発の中では頸部、上縦隔の再発が多く、遠隔臓器再発では肺、肝、骨、脳の順に多いとされています。

食道がん根治切除後に再発した場合の生存率は極めて低く、再発診断時からの生存期間は5~10 カ月と言われていますが、長期生存または完治する症例が少なからずあることも報告されています。

食道がん根治切除後の再発の治療法は、再発部位、形式やその範囲に応じて選択されます。再発時の全身状態や手術操作範囲内の再発か否か、術前または術後に放射線照射がされているかなどでも治療法が変化します。

リンパ節、肺、肝臓などの臓器や、骨への再発の症状
リンパ節、肺、肝臓などの臓器や、骨への再発の症状を詳しく説明します。まず、首の付け根のリンパ節に再発すると、首が腫れてきたり声がかすれたりします。胸や腹部の奥のリンパ節に再発すると、背中や腰に重苦しい痛みを感じます。肺や肝臓への転移は、がん細胞が大きくなるまではっきりした症状はあらわれません。

しかし、体重減少、食欲減退、疲れやすくなるといった症状が出ることがあります。肺への転移が大きくなると、胸の壁を押すことで咳が出たり、胸の痛みを強く感じたりします。肝臓の転移が大きくなると、腹部が張って重苦しく感じます。肝臓はさまざまながん細胞が転移しやすい臓器ですが、「沈黙の臓器」と呼ばれるほど自覚症状が出にくく、かなりがん細胞が大きくなってから黄疸などの症状が出てきます。骨への転移は、強い痛みを感じます。

もともとのがんが大きかった場合には、がんがあった場所に再発することがあります。気管や気管支に再発すると、咳が出る、血の混じった痰が出るといった症状が見られます。また、骨への転移や脳への転移による症状の緩和を目的にした化学放射線療法は、しばしば行われます。そのほか、医療用麻薬であるモルヒネなどの痛み止めを用いる症状緩和のための治療が選択されます。

食道がんの再発の多くは、初回の治療から1年以内に発見されるといわれています。この間は特に注意して定期的に通院し、検査を受けることが重要です。年数が経過するにつれて再発の可能性は低くなっていき、5年を過ぎたら完治の扱いとなります。

内視鏡切除術後の局所再発に関する治療

内視鏡治療後のリンパ節への再発、他の臓器への再発に関しては、化学療法、化学放射線療法、外科手術療法などが再発した場所や患者さんの全身の状態に応じて選択される場合もありますが、予後は不良な場合が多いようです。しかし、積極的治療で長期生存する場合もあります。

外科手術療法については,その手術可能の是非、または、転移したリンパ節の摘出のみを行うのか、リンパ節郭清を伴う食道切除後に再建手術をするのかなどの方法についても個人差が大きく明らかな基準はないようです。

食道がん根治後の再発に関する治療

再発の形式や場所などによっても外科手術適応が異なり、現時点では一定の結論を見出すことができません。食道がんの再発に対する外科手術療法で最も適応となりやすいのは頸部リンパ節への再発です。頸部リンパ節単独の再発に関しては、切除による長期生存例が確認されています。現在でも治療方針は一様ではなく、施設ごとに異なっています。

まとめ

食道がんの再発・転移予防のためにできることは、食道への刺激を減らすことです。そのために、喫煙、アルコールの摂取を控えることがとても大切です。喫煙は食道がんの強いリスク要因ですし、あらゆるがんを誘発する原因となります。

また、アルコールに関しても度数の高いアルコールを日常的に摂取すると食道の粘膜を傷つけてしまいますので注意が必要です。また、熱い食べ物や飲み物、辛い食べ物は食道粘膜を刺激するので、控えたほうが良いでしょう。

食道がんの予防に効果があると言われているβカロテンやビタミンCが豊富な野菜や果物を摂取することも良いでしょう。食道の粘膜を傷つけない工夫や、バランスの良い食事を心掛けることを習慣化していきましょう。

また、治療後の定期受診を欠かさないことも重要です。術後3年間は、3~6ヶ月毎に、術後3~5年は半年ごとに胸部レントゲン、大腸の内視鏡検査、腹部エコー、CT検査、腫瘍マーカー等の血液検査を受けることが望ましいとされています。また、気になる症状が現れた時はすぐに医療機関を受診することを心がけてください。


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