手術(外科治療)

早期の子宮体がんでは子宮全体と卵巣・卵管を切除し、さらに子宮を支える靱帯や腟、およびその周囲も取ることがあります。進行している場合には病状に応じて切除する範囲を決めます。 

臨床進行期によって手術の範囲が変わる

 
子宮体がんの手術で切除する範囲は、「臨床進行期分類」に基づいて診断された臨床進行期によって異なります。

●臨床進行期Ⅰ期
がんが子宮体部のみにとどまっていると推測される臨床進行期Ⅰ期では、子宮全体を摘出する「単純子宮全摘出術」と、両側の卵巣・卵管を切除する「両側付属器切除術」を同時に行うのが標準です。子宮体がんは卵巣に転移しやすく、また卵巣がんを併発することも多いために、閉経後の患者さんでは卵巣や卵管を切除します。

妊娠を希望する患者さんの場合、Ⅰa期のうち子宮内膜に限局する高分化型の類内膜腺がんであれば、卵巣と卵管を残して、黄体ホルモン療法を行える可能性があります。子宮を支える靱帯・組織を骨盤との境目で切断し、腟壁や腟の周囲の結合組織も摘出する「広汎子宮全摘出術」が行われることはまずありませんが、「単純子宮全摘出術」と「広汎子宮全摘出術」の中間にあたる「準広汎子宮全摘出術」が行われることもあります。

高分化型の類内膜がんと推測され、手術中に肉眼でみたときに子宮筋層に浸潤していなければ、再発の可能性が低いので、リンパ節は切除しません。

しかし、手術中あるいは手術後に悪性度の高いタイプ(漿液性腺がん、明細胞腺がんなど、または低分化型がん)と診断された場合には、骨盤リンパ節を切除することがほとんどです。さらに、筋層浸潤の深さにかかわらず、傍大動脈リンパ節は切除します。

また、類内膜腺がんの高分化型あるいは中分化型で、手術中に肉眼でみたときに子宮筋層への浸潤が筋層の2分の1以上のときには切除するのが標準とされています。

●臨床進行期Ⅱ期
がんが子宮頸部や子宮筋層にまで進んでいると推測される臨床進行期Ⅱ期では、Ⅰ期に比べ、誰もが認める科学的根拠のある手術方法が決まっていません。医療機関によって、「単純子宮全摘出術」「準広汎子宮全摘出術」「広汎子宮全摘出術」のいずれかを選択することになり、骨盤リンパ節切除の有無も異なります。臨床進行期Ⅱ期では手術後に確定診断される手術進行期とのぶれも大きいことが知られています。

●臨床進行期Ⅲ期・臨床進行期Ⅳ期
がんが子宮外にも広がっている臨床進行期Ⅲ期、さらにほかの臓器への浸潤・転移がある臨床進行期Ⅳ期では、子宮や卵巣・卵管と骨盤リンパ節だけでなく、がんができている部位や広がりによって、膀胱や大腸などの臓器や結合組織なども切除します。個人差が大きいため、それぞれの患者さんに応じて、手術する範囲が決められます。

手術後に更年期様症状が現れることも

子宮体がんの手術後には、卵巣の切除によって女性ホルモンの分泌がなくなり、ほてり、発汗、頭痛、動悸、だるさ、イライラ、骨粗鬆症、脂質異常症、腟からの分泌物の減少によるかゆみや性交痛といった、更年期のような症状(卵巣欠落症状)が現れることがあります。リンパ節を切除した場合には、脚や足のむくみ(リンパ浮腫)に注意しなければなりません。

また、広汎子宮全摘出術を行った後の合併症として、排尿障害、排便障害などが現れる場合もあります。このような症状に気づいたら、早めに担当医や看護師に伝えて、薬物治療などを行います。なお、手術直後は静脈血栓塞栓症のリスクが高くなります。弾性ストッキングの着用、脚を空気圧で圧迫する、軽い運動をするなどの対策を手術前に担当医や看護師と相談しておきたいものです。

本コンテンツは認定NPO法人キャンサーネットジャパンが出版する「もっと知ってほしい 子宮体がんのこと」より抜粋・転記しております。