化学(薬物)療法について

化学療法とは、薬物(抗がん剤や分子標的薬)を使ってがん細胞の増殖を抑えたり死滅させたりする治療法です。大きく分けて、手術後の再発予防のために行う化学療法と、転移・再発を起こした大腸がんに対する化学療法の2つがあります。最近では外来通院での治療が多くなっています。

再発予防のための術後補助化学療法

手術でがんをすべて切除したと判断されても、身体の中に目に見えないレベルでがん細胞が残っていて、再発を起こす可能性があります。そこで、残っているかもしれないがん細胞を攻撃し再発をできるかぎり抑えることを目的に「術後補助化学療法」を行う場合があります。ステージⅢ、およびステージⅡのうち再発する危険性が高いと思われる患者さんが対象となります。

一般的には、術後1~2か月を目安に開始し、原則6か月、通常は2~3週おきの外来通院で治療します。術後補助化学療法に使用する抗がん剤にはいろいろな種類があり、それぞれ特徴があります。ご自身のライフスタイルに合った治療法を担当医とよく相談してください。

転移・再発を起こした大腸がんの化学療法

転移・再発を起こした大腸がんに対しては、手術でがんをすべて取り切ることができれば積極的に手術を行います。しかし、がんをすべて取り切ることが難しい場合や、がんがもう少し小さくなれば手術が可能になると期待される場合には、化学療法が行われます。

基本となる薬剤は5-FU+ロイコボリン(LV)、イリノテカン、オキサリプラチンの3種類の抗がん剤と、抗EGFR(上皮細胞増殖因子受容体)抗体薬のセツキシマブ、パニツムマブ、抗VEGF(血管内皮増殖因子)抗体薬のベバシズマブの3つの分子標的薬です。5-FU+LVの代わりに5-FU系の経口剤(飲み薬)を使用することもあります。5-FU+LV+オキサリプラチン(FOLFOX)または5-FU+LV+イリノテカン(FOLFIRI)の3剤併用療法に、いずれか1つの分子標的薬を加えた治療法が、最初に行われる治療法として一般的です。

セツキシマブ、パニツムマブは、RAS(ラス)遺伝子に変異がない場合(野生型)にのみ使用します。化学療法を始める前にRAS遺伝子検査で変異の有無を確認します。効果や副作用をみながら、組み合わせを変えたりして治療を切り替えていきます。大腸がんの化学療法はこの10年余りで飛躍的に進歩しています。がんを小さくして手術で取れるようになる場合もあります。また、完全に治すことができない場合でも、がんが大きくなるスピードを抑えて、患者さんが元気に生活できる期間も長くなってきています。






化学(薬物)療法の副作用

副作用の種類や程度は、抗がん剤の種類によっても異なります。また、分子標的薬は従来の抗がん剤とは作用機序が異なるため、この薬剤特有の副作用がみられます。どのような副作用が起こりやすいのか十分に説明を受けましょう。 

抗がん剤には細胞の分裂や増殖を妨げたり、細胞の遺伝子にダメージを与えたりする働き(細胞毒性)があります。この働きのおかげで、がん細胞の増殖を抑え、死滅させることがで
きるのです。しかし、同時に正常な細胞も攻撃してしまうため、副作用として身体にさまざまな症状が現れてきます。

これらの副作用は、抗がん剤を投与した直後から数日後、あるいは数週間後に起こりますが、その多くは治療をいったん休めば治まります。また、副作用に対処する薬や治療法の開発も進み、かなりコントロールできるようになりました。副作用の種類や程度は、抗がん剤の種類によって異なります。

たとえば、転移・再発を起こした大腸がんの標準的な化学療法には、FOLFOX療法(5-FU+ロイコボリン+オキサリプラチン)もしくはFOLFIRI(5-FU+ロイコボリン+イリノテカン)療法の3剤併用療法に、いずれか1つの分子標的薬を加えた治療法が標準とされていますが、オキサリプラチンを含む治療法とイリノテカンを含む治療法では出現する副作用が違います。また、分子標的薬は、従来の抗がん剤とは作用機序が異なるため、この薬剤特有の副作用がみられます。

副作用には、自分で対処できてある程度は我慢してよいものと、我慢せずにすぐに病院に連絡したほうがよいものがあります。化学療法を受ける際には、担当医や薬剤師、看護師から、どのような副作用(症状や起こりやすい時期など)が出るのか十分に説明を受け、どういうときに病院に連絡すればよいのか必ず確認するようにしましょう。


本コンテンツは認定NPO法人キャンサーネットジャパンが出版する「もっと知ってほしい大腸がんのこと」より抜粋・転記しております。