【寄稿】文・写真:乃木 章
日本人の生涯で、2人に1人がかかる身近な病気であるがんのうち、国が検診を勧める肺がん、胃がん、乳がん、子宮頸(けい)がん、大腸がんなどは治療法も進歩し、早期発見すれば治る可能性が高いものになっています。
しかし、小児がん、AYA世代(15歳から39歳)のがんに有効な予防、検診方法はなく、これらのがんについては、有効な治療法・治療薬の開発、臨床試験が重要とされています。
啓発対象である若い世代は、がん=ネガティブなイメージが強いため、がん体験者を直視することはもちろん、がんを話題にすることを避ける傾向にあります。そこで、がん情報サイト「オンコロ」が2016年から開催しているのが、女性シンガー、アニソン歌手、アイドルを通したがん啓発イベントです。
毎回、ステージでパフォーマンスをするアーティストにしかない発信力を活かした「トーク&ライブ」では、がんと無縁に見られる10〜20代のアイドルとがん体験者によるトークセッションが大きな反響を集めています。
2024年は通算9回目となる、小児がん・AYA世代(15歳~39歳)のがん、 臨床試験(治験)の啓発を目的とする女性アーティストによる日本最大級のチャリティーライブ「Remember Girl’s Power!!(オンコロライブ) 2024」が、東京・池袋で開催されました。
Remember Girl’s Power !! (オンコロライブ) 2024実行委員(がん体験者):鳥井 大吾氏
Remember Girl’s Power !! (オンコロライブ) 2024総合司会:笠井 信輔さん(がん体験者)
Remember Girl’s Power !! (オンコロライブ) 2024進行アシスタント:矢方 美紀さん(がん体験者)■Day1:9月7日は池袋西口公園野外劇場グローバルリング シアターで開催
アーティスト陣は、アイドルグループから「アップアップガールズ(2)」、「ARCANA PROJECT」、「FES☆TIVE」、そして「石井あみ」さんが出演。さらにスペシャルゲストとして、がんサバイバーであるタレント・歌手の「麻美 ゆま」さん、元SKE48でタレントの「矢方 美紀」さんが出演してパフォーマンスを披露しました。
■石井あみ
トップバッターの石井あみさんは、2023年1月、テレビアニメ「プリキュア」シリーズ第20作『ひろがるスカイ!プリキュア』にてオープニング主題歌&エンディング主題歌を担当しメジャーデビュー。同年3月に洗足学園音楽大学を卒業。その後もライブイベント、映画、CM、劇伴など様々な音楽活動をしています。
「ひろがるスカイ!プリキュア ~Hero Girls~」、「私は最強(Mrs GREEN APPPLEの曲)」、「気まぐれロマンティック(いきものがかりの曲)」、「FUN☆FUN☆わんだふるDAYS!」の4曲を披露しました。
◼︎ARCANA PROJECT
DEARSTAGEとLantisが共同プロデュースを手掛けるボーカルユニット「ARCANA PROJECT」。タロットカードをベースにした世界観をモチーフに、メンバーそれぞれの個性溢れるボーカルとパフォーマンスで アニメ主題歌をはじめとした、様々なジャンルの楽曲を表現しています。 2022 年にはアニソンの祭典 “Animelo Summer Live 2022 -Sparkle-” への出演を果たし、テレ東系6局ネットで日本時間2024年7月6日(土)あさ9時から放送スタートした特撮ドラマ『ウルトラマンアーク』前期エンディングテーマ『メラメラ』を2024年7月21日にリリースしました。
当日は「夢で世界を変えるなら」、「キミトナラ」、「ときめく夜は、わたしから」、「たゆたえ、七色」、「メラメラ」の5曲を披露しました。
◼︎アップアップガールズ(2)
アイドル界の”ドン・キホーテ”を合言葉に活動中!の全力で青春している王道5人組アイドルグループ「アップアップガールズ(2)」は、佐々木ほのかさんがお休みでした。後ろに名前が入っている衣装が可愛かったです。当日は、「2回目の青春」、「君と僕の軌跡」、「二の足Dancing」、「Life Is Beautiful」、「We are Winner!」の5曲を披露してくれました。
◼︎FES☆TIVE
"お祭り系"アイドルグループ「FES☆TIVE」 。「OIDEMASE-極楽-」を筆頭に「シダレヤナギ」「マジカルパレード」「ハレとけ!あっぱれ!ジャパニーズ!」などアイドルファンなら”誰でも知っている”定番曲を数多く持ち、数々のアイドルフェスでファンを沸かせていいます。海外での公演も頻繁に行い、”お祭り”をテーマに日本から世界へ日本発の元気を届けるべく活動中。2024年9月12日にはTOKYO DOME CITY HALLでのワンマンライブが開催されました。
■麻美ゆま
スペシャルゲストは、麻美ゆまさん。2005年にAV女優デビュー。ドラマ・映画・グラビアなどで活躍しながら、アイドルグループ「恵比寿マスカッツ」の初代メンバーとして活動しました。2013年卵巣境界悪性腫瘍が見つかり、子宮卵巣全摘出、化学療法のち、一年間の闘病生活を得て芸能活動再開した経緯があります。
その後、2015年にソロでの音楽活動を開始。台湾ライブにも出演し海外進出も果たしました。2020年は15周年を迎え精力的にライブ活動を開催しており、舞台「志村魂」やTV「バカ殿様」にも出演、講演など多岐にわたって活動しています。
同日は「Re Start 〜明日へ〜」、「Try Again」の2曲を披露してくれました。
◼︎矢方 美紀
今回、進行アシスタントを務める矢方 美紀さんがサバイバーとしてトーク&「かがみのわたし」を披露してくれました。7年半所属した「SKE48」ではチームSのリーダーを務めました。 2018年4月、25歳の時にステージ2Bの乳がんにより、左乳房全摘出・リンパ節切除の手術を受けています。以後、「自身の体を知る」ことの重要性を伝えるとともに、がんになっても夢を諦めない、前向きに生きている姿を日々発信しています。
現在は、テレビやラジオ出演・ナレーション・MC・講演会などの活動に加え、子どもの頃からの夢であった声優としての活動に力をいれ活動中です。
◼︎啓発セッション「がん検診」池袋保健所:佐藤信博
豊島区役所・池袋保健所の佐藤信博さん
近畿大学病院がんセンター長の中川 和彦先生◼︎共催セッション「山口学園」
チャリティーライブを共催として支える企業や団体を紹介する共催セッションでは、埼玉県川越市で3つの幼稚園(川越ひばり幼稚園、川越第二ひばり幼稚園、川鶴ひばり幼稚園)を経営する学校法人 山口学園の先生が登壇。
同学園では、医療アドバイザーの導入、子どもたちに体について学ぶ時間を提供、健康を育む給食・自園給食など、様々な健康分野に対する取り組みを行っています。当然ながら幼稚園に通う子どもたちは全員が元気いっぱいとは限りません。これまでも持病がある子どもや、突然大きな病気に罹った子どももおり、快復を祈ることしかできなかったとしても、通園してくれた時に明るく元気に過ごせる環境づくりやサポートに力を入れています。
■閉会式
恒例となる中川 和彦先生(近畿大学病院がんセンター長)から感謝状の手渡し、実行委員長の柳澤 昭浩さんの挨拶で締めくくられました。
また、今回から閉会式後にアーティストの方々が寄付を呼びかける募金活動を導入し、多くの観客たちが協力してくれました。



