オンコロLINEの友だちを対象に、がん患者さんやご家族の方などのご意見・お考えを共有したり、がんについて学べる1問クエスチョンのオンコロ・ワンクエスチョン! その結果と解説をがん情報サイト「オンコロ」にて公開しています!
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オンコロ・ワンクエスチョンの一覧
質問
「『プレーン・ランゲージ・サマリー』を読んだり活用したりした経験はありますか?」
結果・解説

「プレーン・ランゲージ・サマリー(PLS)」という言葉を聞いたことはありますか? 今回のオンコロ・ワンクエスチョンでも、ほとんどの方が「知らない」と回答されていました。
がんの治療について調べようとしたとき、難しい専門用語や英語の医学論文に直面して、戸惑った経験がある方は多いのではないでしょうか。今回は、そうした難解な医療情報を皆さんに分かりやすく伝えるために近年活用が広がっている「プレーン・ランゲージ・サマリー(PLS)」について、その目的や具体例、活用方法を分かりやすく解説します。
プレーン・ランゲージ・サマリー(PLS)とは?
プレーン・ランゲージ・サマリー(Plain Language Summary:以下、PLS)とは、専門的な医学論文や臨床研究(新しい治療法を確かめるための研究)などの内容を、医療の専門家ではない一般の方や患者さん、ご家族に向けて「平易な言葉(Plain Language)」で書かれた「要約(Summary)」のことです。
通常、医学論文や臨床試験などの報告書は専門用語が多く、一般の方には理解が困難です。しかし、専門用語をできるだけ避け、図解なども交えながら、専門家ではない人にも内容が伝わりやすいように作られたのがPLSです。
なぜPLSが重要なのでしょうか?|目的と役割
なぜ近年、このPLSが注目されているのでしょうか。患者さんや一般の方が、自分の病気や治療、研究結果について理解し、医療者と話し合うための情報にアクセスしやすくすることが重要だからです。
欧州連合(EU)では、臨床試験規則(CTR)により、臨床試験の結果について、一般の人々にも理解しやすい平易な言葉でまとめた「layperson summary(一般向け要約)」を提出することが求められています。
なお、こうした一般向けの研究結果の要約にはさまざまな形があり、EUの臨床試験における「layperson summary」と、医学論文に付けられる「Plain Language Summary(PLS)」は、目的や内容に共通する部分がある一方、必ずしも同じものではありません。
日本でも近年、製薬企業が臨床試験結果を一般の方にも分かりやすくまとめた資料を公開したり、医学誌が日本語版のPLSを作成して一般公開したりする動きがみられます。
専門的すぎない明瞭な言葉で書かれた要約は、一般の人々が最新の医療情報を理解するための情報源の一つとなります。また、患者さんが医師と治療方針を話し合う際、治療や研究結果について理解を深めるための資料として活用されることもあります。
具体的なPLSの例
【具体例1:大腸がんの新しいお薬のPLS】
海外の医学誌で公開された、前治療歴がある転移性大腸がんの患者さんを対象としたお薬(フルキンチニブ)の臨床試験のPLSでは、次のような工夫がされています。
・「転移性大腸がんとは何か」「血管新生阻害剤という薬はどういう仕組みか」といった基本的な知識が解説されています。
・「患者さんの生存期間に統計的に有意な差が認められた」という専門的な表現について、その意味を一般の読者にも分かりやすい言葉で説明しています。
(参照元:
Taylor & Francis「学術論文のプレーン・ランゲージ・サマリー FRESCO-2試験」より)
【具体例2:尿路上皮がんのPLS】
また、尿路上皮がん(CheckMate 274試験)の日本語版PLSでも、単純に元となった論文を簡素化するだけでなく、疾患の基礎情報や専門用語の解説が読者目線でまとめられています。
(参照元:
CareNet「CheckMate試験の日本語版プレーン・ランゲージ・サマリー」より)
患者さんがPLSを利用・活用するためのガイド
では、ご自身やご家族が「この治療や臨床試験についてもっと分かりやすく知りたい」と思ったとき、どのようにPLSを活用すればよいでしょうか。
1. 製薬会社のウェブサイトを確認する
製薬企業のウェブサイトなどで、臨床試験結果を一般の方にも分かりやすくまとめた資料が公開されている場合があります。ご自身の治療薬の名前や企業名から、患者さん向けの情報を検索してみるのも良いでしょう。
(製薬企業のPLSは、特定の最新薬の仕組みや試験結果が図解付きで非常に丁寧に解説されているのが特徴です。)
2. 信頼できる医療情報サイトを活用する
「コクラン・レビュー(Cochrane Review)」と呼ばれる、世界中の臨床試験を評価・分析したデータベースでは、医療関係者や一般市民が科学的根拠(エビデンス)の内容を正しく理解できるよう、平易な要約(一般語訳)が付けられています。
(コクランなどの第三者機関が提供するPLSは、複数の研究をまとめて評価した結果を知りたい場合に役立ちます。)
3. 主治医やがん相談支援センターに聞いてみる
ご自身で探すのが難しい場合は、「この治療や臨床試験について、患者さん向けに分かりやすくまとめられた資料はありますか?」と、主治医や病院のがん相談支援センターのスタッフに尋ねてみるのも一つの方法です。
最後に
PLSは、難しい医療の世界と患者さんをつなぐ「架け橋」のような存在です。すべての医学用語を無理に理解しようとする必要はありませんが、最新の医療情報を「分かりやすく」得られる手段があることを知っておくだけでも、病気や治療について理解するための情報源の一つとして役立つかもしれません。
ただし、PLSで得た情報はあくまで主治医と話し合うための参考材料です。論文の要約だけを見て自分で治療法を判断するのではなく、「この記事に書いてあることは、自分の病状にも当てはまりますか?」と主治医に質問・相談するためのツールとしてご活用ください。
今回の記事をきっかけに、「プレーン・ランゲージ・サマリー」という言葉を知っていただき、ご自身やご家族が納得して治療に向き合うための一つのツールとして役立てていただければと思います。
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