オンコロLINEの友だちを対象に、がん患者さんやご家族の方などのご意見・お考えを共有したり、がんについて学べる1問クエスチョンのオンコロ・ワンクエスチョン! その結果と解説をがん情報サイト「オンコロ」にて公開しています!
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オンコロ・ワンクエスチョンの一覧
質問
「『がんリハビリテーション』では実際にどのような内容が行われていると思いますか?」
結果・解説

がんの治療過程において「リハビリテーション」という言葉を耳にする機会が増えています。しかし、「実際にどのようなことを行うのか」「どのタイミングで始めるべきなのか」について、具体的なイメージを持てていない方も少なくありません。
今回のオンコロ・ワンクエスチョンでは、そんながんリハビリテーションについて皆さまにお伺いしました。最も票数を集めたのは「手足のむくみ(リンパ浮腫)のケアや転倒予防(143票)」でしたが、その他の項目についても110〜130票台で均等に選択される結果となりました。
実は、選択肢はすべて「がんリハビリテーションの実際の医療現場で行われている取り組み」です。下記では、専門医が登壇するオンラインセミナー動画のご紹介と、がんリハビリテーションについて詳しく解説します。
オンラインセミナーで学ぶ「がんリハビリテーション」
専門医が「がんリハビリテーション」をテーマに解説したオンラインセミナー動画をご紹介します。
「がんリハビリテーション」の正しい知識
がんリハビリテーションとは、がんそのものや治療(手術、抗がん剤、放射線治療など)によって生じる心身の機能低下を予防・改善し、身体機能や日常生活動作、社会参加を支え、自分らしい生活(QOL)を維持・向上することを目的とした医療介入です。
がんリハビリテーションガイドラインなどにおいても、早期からの介入および多職種連携(医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師など)の重要性が示されています。
■ がんリハビリテーションを行う「4つのフェーズ」
がんリハビリテーションは、病状や治療のステージに合わせて大きく4つの時期に分かれています。
【1. 予防的リハ】 診断直後・手術前(体力の底上げ、術後合併症の予防)
↓
【2. 回復的リハ】 手術後・治療直後(低下した身体機能の回復・社会復帰)
↓
【3. 維持的リハ】 治療中や病状が安定している期間(筋力維持、だるさ軽減、リンパ浮腫ケア)
↓
【4. 緩和的リハ】 進行期・終末期(苦痛の緩和、QOL・日常動作の維持)
■ 4つのフェーズの詳細
予防的(Prehabilitation)
診断後から手術などの本格的な治療が始まるまでの期間に行います。あらかじめ体力や呼吸機能を高めておくことで、術後合併症のリスクを下げ、回復を早めます。
回復的(Restorative)
手術後や治療によって低下した体力、関節の動き、日常生活の動作を元の状態に近づけるためのアプローチです。
維持的(Supportive)
抗がん剤治療や放射線治療を継続している中で、筋力衰退や倦怠感を予防し、できる限り身体機能や日常生活動作を維持する目的で行います。
緩和的(Palliative)
病状が進行している段階においても、苦痛症状(痛みの軽減、息苦しさの緩和など)をやわらげ、ご本人が望む生活や姿勢を維持できるよう支援します。
オンコロ・ワンクエスチョンの選択肢の解説
5つの選択肢について、詳しく解説します。
① 手術を受ける前からの体力づくり
「手術が決まったら静養する」と考えられがちですが、現在は手術前の適度な運動(プレハビリテーション)が推奨されています。手術前に有酸素運動や筋力トレーニング、呼吸訓練などの呼吸リハビリテーションを行うことで、術後の合併症を減らし、回復を促す可能性が報告されています。
② 抗がん剤による「がん関連疲労(だるさ)」の軽減
抗がん剤治療に伴う強い倦怠感は「がん関連疲労(Cancer-Related Fatigue: CRF)」と呼ばれます。安静にしすぎるとかえって筋力が低下し、疲労感が強まる悪循環に陥ることがあります。科学的根拠に基づき、安全な範囲での有酸素運動(ウォーキングなど)やストレッチは、がん関連疲労の軽減に有効であることが、多くの研究で示されています。
③ 食事の「飲み込み」や「話す機能」のトレーニング
頭頸部(口やのど、喉頭など)のがん手術や食道がんの手術後、あるいは放射線治療の影響によって、食べ物の飲み込み(嚥下機能)や構音(言葉の発声)に障害が出ることがあります。言語聴覚士(ST)などの専門職が介入し、嚥下筋の訓練や安全な食事姿勢の指導、食事の形態調整を行うことで、誤嚥性肺炎を防ぎつつ「口から食べる楽しみ」を支えます。
④ 手足のむくみ(リンパ浮腫)のケアや転倒予防
・リンパ浮腫ケア
乳がんや婦人科がん、骨盤内の手術などでリンパ節を郭清(切除)した場合や放射線治療後、手足にリンパ液がたまってむくむ「リンパ浮腫」が生じる場合があります。専門の医療者によるスキンケア、医療用弾性着衣の着用、用手的リンパドレナージ、適切な運動を組み合わせた「複合的理学療法(Complex Decongestive Therapy:CDT)」が行われます。
・転倒予防
抗がん剤の副作用(末梢神経障害による足裏のしびれなど)や筋力低下があると、転倒のリスクが高まります。バランス訓練や作業療法士・理学療法士による住環境の調整、歩行補助具の選定により安全な日常動作を確保します。
⑤ 治療中の不安や気分の落ち込みなどを和らげるケア
適度な運動や作業療法は、身体機能の維持だけでなく、気分の落ち込みや不安の軽減につながる可能性が報告されています。また、作業療法では、その人らしい生活や役割を大切にしながら活動を支援することで、心理的な安定につながることがあります。必要に応じて精神腫瘍科医や公認心理師とも連携をとります。
まとめ:がんリハビリテーションを希望される場合
「リハビリ=運動ができる状態になってから行うもの」ではありません。がんリハビリテーションは、診断後の早い段階から、病状や身体の状態に応じていつでも活用できる治療支援の一環です。
「治療を控えていて体力に不安がある」
「手足にしびれやむくみがあって動かしづらい」
「抗がん剤治療中で体がだるいが、少しでも体を動かしたい」
このような悩みや疑問がある場合は、決して無理をせず、まずは主治医や担当看護師、病院の「がん相談支援センター」へ「リハビリテーションについて相談したい」とお伝えください。
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