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「がんクイズ:卵巣がんについて、正しい説明はどれでしょうか」オンコロ・ワンクエスチョンvol.125

[公開日] 2026.06.03[最終更新日] 2026.06.03

オンコロLINEの友だちを対象に、がん患者さんやご家族の方などのご意見・お考えを共有したり、がんについて学べる1問クエスチョンのオンコロ・ワンクエスチョン! その結果と解説をがん情報サイト「オンコロ」にて公開しています! ▼オンコロ・ワンクエスチョンの一覧 友だち追加

質問

「がんクイズ:卵巣がんについて、正しい説明はどれでしょうか

結果・解説

  近年の卵巣がん治療は、医療の進歩により、個別化医療や長期コントロールの選択肢が大きく広がっています。しかし、他のがんとは異なる特有の性質や治療原則があるため、患者さんやご家族の間でも、いまだに誤解や見落とされがちなポイントが存在します。 今回のオンコロ・ワンクエスチョンの結果をみると、「遺伝子タイプの特徴によって治療薬が使い分けられる」ことや、「再発後も薬を替えながら長く付き合っていける」という前向きな特徴への認識が広がっているなど、多くの方が正しく理解している結果となりました。 本記事では、クイズで挙げた各選択肢をひも解きながら、卵巣がんに関する現在の標準的な知見を整理して解説します。

クイズの選択肢:正解と解説

今回のクイズの正解は下記のようになります。 ( ✕ )子宮頸がん検診を受けていれば、卵巣がんも必ず見つけることができる。 ( 〇 )BRCA遺伝子の検査は、使う薬を選ぶだけでなく、家族の健康管理にも役立つ。 ( ✕ )卵巣がんがお腹(腹膜)の中に広がった場合は、どんな場合でも手術はできない。 ( 〇 )卵巣がんは再発しても、薬を替えながら長く付き合っていける場合がある。 ( 〇 )卵巣がんは、がんのタイプや遺伝子の特徴によって使う薬が変わることがある。 1. 【不正解】子宮頸がん検診を受けていれば、卵巣がんも必ず見つけることができる。 一般的に行われている「子宮がん検診」は、主に子宮の入り口の細胞を採取する「子宮頸がん検診」を指します。子宮と卵巣は近接した臓器ですが解剖学的には独立しており、子宮頸部の細胞を調べても、お腹の奥(骨盤内の深部)にある卵巣のがん細胞を検出することはできません。 現在、卵巣がんにおいて死亡率減少効果が証明された有効な住民検診(スクリーニング制度)は確立されていません。卵巣がんは初期症状に乏しく「沈黙の臓器」とも呼ばれるため、早期発見のためには、腹部膨満感(お腹の張り)や頻尿、下腹部痛などのわずかなサインを見逃さないことが重要です。気になる症状がある場合は、婦人科を受診し、「経腟超音波(エコー)検査」や内診、必要に応じた腫瘍マーカー(CA125など)の血液検査を受ける必要があります。 2. 【正解】BRCA遺伝子の検査は、使う薬を選ぶだけでなく、家族の健康管理にも役立つ。 卵巣がんの約1割から1.5割は、遺伝的な要因が関与しているとされています。その代表が、BRCA1またはBRCA2遺伝子の変異によって乳がんや卵巣がんを発症しやすくなる「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」です。 患者さんがBRCA遺伝子検査を受けることには、大きく分けて2つの意義があります。 ①患者さん自身の治療薬の選択(プレシジョン・メディシン):遺伝子変異の有無は、最初の治療後に行う維持療法の選択を考えるうえで重要な情報となります。特にBRCA遺伝子変異や、遺伝子の傷を修復する機能が低下した状態を示す「HRD(相同組換え修復欠損)」の有無は、再発を抑えるために用いられる分子標的薬「PARP(パープ)阻害薬」などの治療方針を検討する際の重要な判断材料となります。なお、HRDやPARP阻害薬については、5番目の選択肢の解説で詳しく説明します。 ②ご家族の健康管理(血縁者への情報共有):患者さんにBRCA変異が見つかった場合、その血縁者(子どもや兄弟姉妹など)も50%の確率で同じ変異を受け継いでいる可能性があります。血縁者が自身の意思で遺伝子検査(血縁者検査)を受け、変異の有無を事前に知ることで、乳がんの厳密な定期検診(乳房MRIなど)による早期発見や、卵巣がんの発症リスクを大きく下げるための「リスク低減卵管卵巣摘出術(RRSO)」という予防的切除の手術を選択できるようになります。このように、検査結果は家族全体の未来の健康を守るための重要な情報となります。 3. 【不正解】卵巣がんがお腹(腹膜)の中に広がった場合は、どんな場合でも手術はできない。 胃がんや大腸がんなど多くの固形がんでは、がん細胞がお腹の壁の膜に散らばる「腹膜播種(ふくまくはしゅ)」が起きると、ステージⅣの進行がんと診断され、基本的には手術不能(抗がん剤治療のみ)と判断されることが一般的です。しかし、卵巣がんはこの原則が大きく異なります。 卵巣がんは腹膜播種を伴う進行がんであっても、手術によって目に見える腫瘍を限界まで取り切る「腫瘍減量手術」を行うことが標準治療とされています。 最初に手術を行う「初回腫瘍減量手術(PDS)」だけでなく、腫瘍が大きすぎる場合は先に抗がん剤でがんを小さくしてから途中で手術を行う「間欠的腫瘍減量手術(IDS)」という選択肢もあります。最新の臨床データにおいても、手術によって残存腫瘍を完全にゼロ(R0切除)にすることは、その後の治療成績や生存期間の改善につながることが多くの研究で示されています。そのため、広がっているからといって「一概に手術ができない」というわけではありません。 ただし、患者さんの体力や、がんが重要な血管を巻き込んでいる場合など、安全に切除できないと判断されるケースでは手術を行わないこともあります。 4. 【正解】卵巣がんは再発しても、薬を替えながら長く付き合っていける場合がある。 卵巣がんの多くは抗がん剤に反応しやすい特徴があります。そのため、万が一再発してしまった場合でも、治療の選択肢が尽きるわけではなく、長期にわたって病勢をコントロールできる場合があります。 再発時の薬物療法は、従来、前回のプラチナ製剤(カルボプラチンなど)の治療が終わってから再発するまでの期間(PFI:Platinum-Free Interval)が「半年以上(プラチナ感受性)」か「半年未満(プラチナ抵抗性)」か、という基準で一律に戦略が立てられていました。しかし近年は、初回の治療でPARP阻害薬などの「維持療法」をどう受けていたか、また遺伝子の特徴はどうか、なども含めた『総合的な判断』へと進化しています。 もちろん、再発の時期やがんの性質(薬が効きにくいタイプなど)によっては治療が非常に難しい局面もありますが、現在は作用機序の異なる別の抗がん剤や、血管新生阻害薬などを単剤または組み合わせて使用するなど、使えるお薬の選択肢は増えています。このように、複数の薬剤をリレーのように戦略的に切り替えていくことで、QOL(生活の質)を保ちながら長期間にわたり日常生活を送ることを目指せるケースが増えています。 5. 【正解】卵巣がんは、がんのタイプや遺伝子の特徴によって使う薬が変わることがある。 近年の卵巣がん治療は、患者さん個々の病変の性質に合わせた個別化医療が急速に進展しています。お薬の選択を左右する重要な要素が「組織型(がんのタイプ)」と「遺伝子の特徴」です。 ・組織型(タイプ)による違い:卵巣がんは主に「漿液性癌」「明細胞癌」「類内膜癌」「粘液癌」の4つの組織型に分類されます。最も頻度の高い漿液性癌は抗がん剤が効きやすい一方、明細胞癌や粘液癌は従来の抗がん剤が効きにくい性質があるため、それぞれ異なる治療戦略や薬剤の組み合わせが検討されます。 ・遺伝子の特徴(HRDなど)による違い:近年は、前述の「BRCA遺伝子変異」の有無に加え、遺伝子の傷を修復する機能がどれくらい低下しているかを示す「HRD(相同組換え修復欠損)」という指標も検査されます。これらの結果(BRCA陽性、HRD陽性、あるいは双方とも陰性など)に応じて、最初の治療(初回化学療法)が終わった後に使用する「PARP阻害薬」や「抗血管新生阻害薬(ベバシズマブ)」といった維持療法の薬剤選定や組み合わせが検討されます。これにより、個々の患者さんにより高い再発抑制効果が期待できる治療を提供できるようになっています。

最後に:セミナーのご紹介

オンコロちゃんねるにて、2026年最新版の「卵巣がん」をテーマにしたセミナー動画を公開しています。ぜひご視聴ください。

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