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「がんゲノム医療で活躍している『次世代シーケンサー』という機械の画期的な点は何でしょうか?」オンコロ・ワンクエスチョンvol.101

[公開日] 2025.12.04[最終更新日] 2025.12.04

オンコロLINEの友だちを対象に、がん患者さんやご家族の方などのご意見・お考えを共有したり、がんについて学べる1問クエスチョンのオンコロ・ワンクエスチョン! その結果と解説をがん情報サイト「オンコロ」にて公開しています! ▼オンコロ・ワンクエスチョンの一覧 友だち追加

質問

「がんゲノム医療で活躍している『次世代シーケンサー』という機械の画期的な点は何でしょうか?」

結果・解説

皆さんは「次世代シーケンサー(NGS)」という機械をご存じですか? これは、現在のがん医療、特に「がんゲノム医療」において非常に重要な役割を果たしている遺伝子検査の解析装置です。 今回のオンコロ・ワンクエスチョンでは、この次世代シーケンサーの特徴についてクイズ形式でお伺いしました。この解説を通じて、検査の仕組みや、がん患者さんにとってどのような可能性が広がるのか、理解を深めていただければと思います。

クイズ解説:次世代シーケンサーの画期的な点とは?

「次世代シーケンサー」という解析装置の画期的な点は何か?という問いに対し、参加された多くの方が下記の選択肢「1・2・3」を選択されました。 1.DNAを細かく断片化し、数百万本を並列に一気に読める 2.血液一滴で、全自動でがん細胞を選別してくれる 3.遺伝子解析のスピードが、劇的に速くなった 4.がん細胞だけを光らせて、顕微鏡で読み取れる この中で、正解は「1」と「3」の2つです。 ▼正解の解説:選択肢1・3 これまで主流だった検査方法(サンガー法)は、例えるなら「1冊の本を、1人が最初から1文字ずつ読み上げていく」ようなものでした。正確ですが、膨大な時間がかかります。 対して、次世代シーケンサーは、「本を数百万個のページにバラバラに切り分け、数百万人が一斉に(並列に)読み取る」という方法をとります。これが選択肢1の「並列化」です。この技術革新により、かつては数十億円と10年以上かかったヒトゲノム解析が、今ではわずか数日で多くのゲノム解析が可能になりました(選択肢3)。このスピードがあるからこそ、患者さんの治療に間に合う検査として実用化されたのです。 ▼不正解の解説:選択肢2 「血液一滴で全自動で選別」という選択肢は、半分正解で半分間違いです。血液中のがん遺伝子を調べる「リキッドバイオプシー」という手法は存在しますが、指先からの「一滴」では検査精度を保つためのDNA量が足りず、実際には通常の採血程度の量が必要です。 また、機械に入れる前には、専門家が手作業でDNAを抽出・加工する「ライブラリ調製」という非常に精密な工程が不可欠です。「一滴入れれば全自動で診断が出る魔法の箱」ではないことを、ぜひ知っておいてください。 ▼不正解の解説:選択肢4 がん細胞を光らせて顕微鏡で見るのは、病理検査などの手法です。次世代シーケンサーは、遺伝子の配列(A・T・C・Gという文字の並び)をデジタルデータとして自動的に読み取るため、病理検査のように人間が顕微鏡で形を見るわけではありません。

解説動画で学ぶ「がん遺伝子検査」

遺伝子の検査について下記セミナーで専門医により詳しく解説いただいています。ぜひご視聴ください。

次世代シーケンサーの活躍が期待される、これからの「がん治療」

ここからは、次世代シーケンサーを使うことで、がん患者さんの治療が具体的にどう変わるのか、従来の検査との違いや保険適用について解説します。 ①「魚釣り」から「地引き網」へ:検査の違い これまで行われてきた一般的な遺伝子検査(コンパニオン診断)は、「ある特定の遺伝子に変異があるか?」を調べるものでした。これは、狙った魚(特定の遺伝子異常)がいるかどうかを一本釣りで確かめるようなものです。 一方、次世代シーケンサーを用いた「がん遺伝子パネル検査」では、数十~数百個の遺伝子を一度にまとめて調べます。これは、広い海に地引き網をかけ、どんな種類の魚(遺伝子変異)がいるかを網羅的に調べるイメージです。 これにより、今まで見過ごされていたかもしれない遺伝子の変化を見つけ出し、その変化に合ったお薬(分子標的薬など)があるかどうかを探ることができるのです。 ②がん患者さんへのメリットと期待 この検査の最大の目的は、患者さん一人ひとりのがんの個性に合わせた治療法を見つけることです。 がんが発生する原因となる遺伝子の変化は、患者さんごとに異なります。次世代シーケンサーでがん細胞の遺伝子を詳しく解析することで、例えば「元々は肺がんの治療薬として開発された薬が、この患者さんの胃がんにも効く可能性がある」といった、臓器の枠を超えた治療の選択肢が見つかることが期待されています。 ③保険適用と対象となる方 現在、日本では次世代シーケンサーを用いた「がん遺伝子パネル検査」の一部が公的医療保険の適用となっています。ただし、誰でもすぐに受けられるわけではなく、主に以下の条件に当てはまるがん患者さんが対象となります。 ・標準治療(科学的根拠に基づいた最良の治療)が終了した、または終了が見込まれる方 ・標準治療がない固形がんの方(希少がんや原発不明がんなど) ・全身の状態が比較的良好で、検査後の治療に耐えられる方 検査は、厚生労働省が指定した「がんゲノム医療中核拠点病院」などの専門的な体制が整った病院で行われます。 ④検査を受ける前に知っておいてほしいこと ご家族の方も含め、知っておいていただきたい大切な点があります。それは、この検査を受けても「必ず自分に合う薬が見つかるわけではない」ということです。現在のデータでは、検査を受けて自分に合う薬が見つかり、実際に治療に結びつく患者さんの割合は約10%前後と言われています。 「なんだ、それだけか」と思われるかもしれません。しかし、これまでは治療法がないと思われていたところに、新たな可能性の光を当てる検査であることは間違いありません。検査の結果、治療薬が見つからない場合でも、ご自身の遺伝子情報は「がんのプロフィール」として、将来の研究や新しい治療法の開発に役立てられ、未来の患者さんを救うことにつながります。 次世代シーケンサーは、がん医療を「みんな同じ治療」から「あなただけの治療」へと進化させるための強力なパートナーです。主治医の先生とよく相談しながら、治療の選択肢の一つとして検討してみてください。

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