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【オンコロメルマガ】「嬉しかった言葉」、「傷ついた言葉」 [vol.209]

[公開日] 2021.04.21[最終更新日] 2021.04.21

オンコロの中島です。 病気になると、家族をはじめまわりの友人達が心配してさまざまな気配りをしてくれます。 がんは「診断告知」から始まり「死」を連想されがちな、特別な病気のひとつなのかもしれません。まわりの人達は、究極の気配りを迫られる立場に立たされるケースもあるのではないでしょうか。 その風潮も、がんは生涯2人に1人が罹患する(*)、珍しくない病であることが、社会に理解されつつあるような気がしています。「がんと共存する時代」は、サバイバーにとっては嬉しいことでもあります。 私は乳がんと診断された後、家族をはじめ会社の上司、同僚、一部の親しい友達など、病気のことを直接知らせなければならなかった人達がいました。 報告のあと、人によってリアクションは違えど、ほとんどの人達が今まで通り「普通に」接してくれたことは嬉しかったことのひとつです。 それは、自分を腫れ物のように特別扱いをしてくれなかったことにあります。 病気のことは、自分から直接説明したかったので、SNSなどで発信はせず、会った時や、電話での会話の中で、限られた人達に伝えたつもりでしたが、説明していない知人まで私の病気のことを知っていたのは少し驚きました。 治療中は、友人達がたくさんの勇気と元気の出る言葉を送ってくれました。 「おはよう!今日はいい天気だね。」、「暖かい季節になってきたね」、「庭の花が綺麗に咲いたよ」など、日常の生活ではとてもありふれたメッセージでした。 それらの挨拶のような「言葉」は、沈んでいた気持ちを不思議に前向きにしてくれました。 人それぞれの性格、体調や気分により解釈は違うでしょうから、例えば「大丈夫だよ」という言葉に励まされる人もいれば、全然大丈夫じゃない、と、かけられた同じ言葉に意味の違いを感じるのは自然なことです。 つい最近、水泳選手の池江璃花⼦選手が競泳日本選手権で見事優勝しました。レース後に「努力は必ず報われると思いました」とコメントされたことは、皆さんの記憶に新しいと思います。 急性リンパ性白血病から復活されたこの栄光は、彼女の強い信念と、水泳への愛と、壮絶な練習の賜物だと思っています。 このコメントは、その報道直後、がんサバイバーのあいだでもネットで話題となりました。 「白血病という闘病の努力が報われた」という意味で、病と闘っている患者さん達が「励まされた」という一方で、「努力をしても報われない病もある」という意見も見受けられました。落ち込まれた患者さんやそのご家族も少なくなかったと想像しています。 闘病中は、感性が特に敏感になる瞬間があるので、励ましたつもりの言葉が、患者さんにとって逆に落ち込んでしまわれたりすることもあるはずです。 池江選手の「努力」が何を指すのかは、私個人としては、退院後、レースに向けてのその過程を指しているのかな、と理解しています。優勝が「報われた」その瞬間だったのではないでしょうか。 言葉の持つ力は大きいです。 皆さんの「嬉しかった言葉」は何ですか? (*)がん情報サービス「日本のがん最新統計まとめ」5)がんに罹患する確率~累積罹患リスク(2017年データに基づく)より 中島 香織
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