みなさん、こんにちは。
オンコロ責任者の可知です。
本日、がん情報サイト「オンコロ」を運営する3Hメディソリューション株式会社は、株式会社ColorVariationと共同で、
がん診療における共同意思決定(Shared Decision Making:SDM)を支援するツール「SDMアシストカード」の制作・普及プロジェクトを開始したことを発表いたしました。
本プロジェクトは、患者さん中心の医療に賛同いただくビーワン・メディシンズ合同会社の協賛・支援のもと、医療者、研究者、そして患者団体の皆さまと共に進めてまいります。
研究から実装へ:JASCC2025での調査が背景に
本プロジェクトの大きな特徴は、学術的な調査研究から導き出された課題を、具体的な解決策へと繋げる点にあります。
私たちが参画したJASCC2025(第10回日本がんサポーティブケア学会学術集会)での「肺がん患者のSDM 認知・実施・効果に関する予備的調査」では、SDMの質が高まるほど治療満足度が向上し、後悔が減少する傾向が示唆されました。しかし同時に、実際の診療現場には以下のような「対話の難しさ」があることも浮き彫りになりました。
- 「徹底的な比較検討」の不足:選択肢の提示は行われているものの、医師と患者がそれぞれの治療方法について深く対話できていると感じるスコアは、必ずしも高くありませんでした。
- 価値観の言語化の難しさ:医学的な情報だけでなく、生活の質や家族、仕事との両立といった「自分自身の価値観」を医療者に伝えることの難しさが指摘されています。
この調査で明らかになった「対話の質の向上」という課題に対し、一つのアプローチとして立ち上がったのが本プロジェクトです。
「価値観」を可視化し、対話のきっかけに
今回開発する「SDMアシストカード」は、キャリア支援やチームビルディングで実績のある「カラバリューカード」を基盤としています。
- 価値観の言語化・可視化:52枚のカードから選ぶプロセスを通じて、言葉にしづらかった自身の「大切にしたいこと」を整理します。
- 対話の補助ツール:このカードは治療法を決定する直接的な道具ではなく、あくまで医療者と「比較検討」を行うための土台を作る支援ツールと位置づけています。

プロジェクトの監修には、長谷川一男氏(肺がん患者の会 ワンステップ)を筆頭に、SDM研究の第一人者である中山健夫教授(京都大学)や、各領域のエキスパートである勝俣範之教授(日本医科大学)、山本信之教授(和歌山県立医科大学)、平井啓准教授(大阪大学)ら、多くの専門家の先生方にご参画いただいています。
オンコロがこのプロジェクトに込める想い
がん医療において、最適な治療とは「データ上の正解」だけでなく、その方の「生活や人生に沿った正解」であってほしいと考えています。
しかし、診断を受けた直後の不安な中で、自分の優先順位を整然と伝えるのは容易ではありません。また、医師側も患者さんの想いを引き出すための「きっかけ」を必要としています。
この「SDMアシストカード」は、その対話の空白を埋めるための小さなきっかけです。言葉にしづらい思いをカードとして可視化することで、医療者と一緒に同じテーブルを見つめながら話せる環境を作りたいと考えています。
私たちは本プロジェクトを通じて、SDMが診察室での自然な対話として広がり、患者さんが納得感を持って治療に向き合える環境づくりに努めてまいります。
【プロジェクト関係者・アドバイザー(一部抜粋・敬称略)】
長谷川 一男(特定非営利活動法人 肺がん患者の会 ワンステップ)
中山 健夫(京都大学大学院医学研究科 教授)
勝俣 範之(日本医科大学武蔵小杉病院 腫瘍内科 教授)
山本 信之(和歌山県立医科大学 呼吸器内科・腫瘍内科 教授)
平井 啓(大阪大学大学院人間科学研究科 准教授)
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