第1部 宇野 雅哉先生による講義

子宮頸がんとは
子宮頸がんとは年間約1万人が罹患し、約3千人がなくなる病気で、ほとんどの子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することで発症します。 感染後に異形成という細胞に異常をきたした状態を経て、数年から数十年かけて最終的に子宮頸がんになるというプロセスが明確になっているため子宮頸がん検診が有効です。 しかし現在の日本の受診率は、43.7%(2019年)と高くありません。 精密検査を受けた人に絞ると、検診を受けることでがんが見つかる割合は約1~2%、また前がん病変(子宮頸がんの前の状態)は約35%見つかり、予防的に治療できます。 (2017年度東京都検診データより)HPVワクチンについて
ほとんどの子宮頸がんはHPVの感染によって生じます。よって、感染を予防すると子宮頸がんは生じにくくなります。 HPVには遺伝子の違いで200以上の型があります。その中で子宮頸がんの発がんにかかわる遺伝子型をハイリスクHPVといいます。 ハイリスクHPVのうち大半を占める2つの型を予防する2価ワクチンと4価ワクチン(良性病変のコンジローマを予防するため2価追加されています)を日本では、12~16歳の女児であれば公費で接種できます。 また2020年7月には9価ワクチンが承認され、子宮頸がんの約9割をカバーできるようになりましたが、まだ日本では定期接種の対象ではないため、自費でないと接種ができません。副反応問題について
日本では2010年にHPVワクチンの公費助成を開始し、対象年代の接種率は70%にまで昇りました。2013年4月には予防接種法に基づき定期接種化。しかし接種後に広範な疼痛や運動障害などの報告が相次ぎ、同年6月に接種の積極的勧奨の一時差し控えられ、接種率が1%未満に落ち込みました。 よって、日本では予防接種法に基づき定期接種は維持するも、接種するよう自治体がお勧めするのは一時差し控えるといった状態になりました。 差し控えとなって以降、日本は副反応についてさまざまな研究が行われました。 2015年9月 厚生労働省副反応検討部会では、「接種後に副反応疑いとして報告された多様な症状は機能性身体症状(血液検査や画像検査で異常があるわけではないが、身体に現れること)である」と結論づけました。 また厚生労働省では大阪大学の祖父江先生を班長として、全国疫学調査を実施。全国約1.8万の診療科に対して多様な症状がどの程度いるか調査したところ、HPVワクチンを打った人でも打っていない人でも、同様の症状が出る方がいることがわかりました。 そのほかに愛知県名古屋市の要請を受けて行われた疫学調査「名古屋スタディ」では、名古屋市に住民票のある小学校6年生から高校3年生までの女子約7万人に対してアンケート調査を実施。 約3万人のデータを解析した結果、「関節や体が痛む」や「突然力がぬける」など24項目にわたる症状は、ワクチンを接種した人と接種していない人で差はみられなかったという結論がでました。 以上の調査や研究が行われた結果、2020年10月に厚生労働省は子宮頸がん・HPVワクチンのリーフレットを接種対象者のいる家庭に個別に通知する方針を示しました。最後に
HPVワクチンについて、どこで接種できるかなどについては各市区町村のHPをご覧ください。例えば中央区内であれば「中央区 HPVワクチン」とGoogleやYahoo!で検索することで接種可能なクリニックが掲載されています。 その他、学会のHPなどでは子宮頸がんやHPVワクチンについての情報発信を積極的に行なっております。 ■公益社団法人日本産婦人科学会 http://www.jsog.or.jp/modules/jsogpolicy/index.php?content_id=4第2部 水田 悠子氏による講演

第3部 Q&Aディスカッション

最後に
当初有観客にて開催を計画しておりました。しかし、7月下旬時点で、都内の新型コロナ感染者数が3,000人を超え(今は5,000人以上)、よって無観客で実施することになりました。 土曜日の日中にもかかわらず多くの方が見てくれ、以下のような感想をいただきました。 ・むやみに怖がるものではなく、正しく理解して利用しようとおもいました。 ・18才の子は接種を控えましたが、12才の子は接種させようと思いました。18才の子も自費で接種受けさせたいと思いました。 ・副作用は思ったよりは低いという印象。ただ娘に受けさせるかは変わらず悩ましい。 まずはHPVワクチンについて考えるきっかけになってもらえれば幸いです。 ぜひ動画もご視聴ください! そして視聴後のアンケートにもぜひ、ご回答をお願いします。https://forms.gle/q2nBKaWRLSjQeE4x6