オンコロでもWebサイト上やセミナーで、「エビデンス(科学的根拠)のない治療には注意しましょう」とよく発信していますが、健康食品においても同様のことが言えます。 そもそも健康食品とはなんでしょう。そしてがん治療に効果はあるのでしょうか。医薬品との違いも合わせて書いていこうと思います。NHKニュースの記事より 「がん細胞が自滅する」などと医薬品のような効能を宣伝し、大阪に住むがん患者などに健康食品を販売したとして、警察が販売会社の社長ら4人を逮捕したことがわかりました。警察は3年間で少なくとも28億円を売り上げていたとみて、詳しく調べています。
広く健康の保持増進に資する食品
まず健康食品とは厚生労働省のページに下記のように記載されています。あくまでも健康を維持するためのものです。ここで抑えてもらいたいのは、抗がん剤をはじめとする医薬品と健康食品は全くの別物です。「健康食品」とは 健康食品と呼ばれるものについては、法律上の定義は無く、広く健康の保持増進に資する食品として販売・利用されるもの全般を指しているものです。そのうち、国の制度としては、国が定めた安全性や有効性に関する基準等を満たした「保健機能食品制度」があります。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/hokenkinou/index.html
疾病の診断、治療又は予防に使用されること
医薬品は日本の医薬品医療機器等法第2条でこう定義されています。つまり、病気の方の治療や予防として使用されるのが医薬品です。一方健康食品は広く健康の保持増進に資する食品として販売・利用されるものです。そもそも病気の治療や予防に用いられるものではありません。二 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であつて、機械器具等でないもの
三 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であつて、機械器具等でないもの https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=335AC0000000145#20
健康食品は病気の治療・予防を目的としない
また東京都福祉保健局にはこのように書かれています。ここに明確に“医薬品と違い、病気の治療・予防を目的とするものではありません”と記載されています。何度も書きますが、健康食品は健康を維持するもので、病気の予防/治療では用いませんし、効果もありません。 つまり、今回の件では健康食品に関わらず、「がん細胞が自滅する」といった治療効果をうたうような表記をしてはいけません。よって今回シンゲンメディカル社の社長、専務を含む4名が逮捕されました。いわゆる健康食品は、医薬品と違い、病気の治療・予防を目的とするものではありません。病気の治療や予防に役立つことを説明したりほのめかしたりする表示や広告を行っている製品は、「医薬品」と判断します。外国語で記載されていても取り扱いは同じです。疾病の治療や予防効果の表示・広告は、医薬品としての承認を取得して初めて可能になるものなのです。いわゆる健康食品には、栄養補給や健康の維持など一般的な食品の範囲の目的しか持たせることができません。 http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/smph/kenkou/kenko_shokuhin/ken_syoku/kanshi/kounou.html