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欧州臨床腫瘍学会 ESMO 2018 速報版レポート ~IMmotion151試験~
[公開日] 2018.10.22[最終更新日] 2018.10.22
未治療の転移性腎細胞がんの患者におけるアテゾリズマブ/ベバシズマブ併用の臨床試験結果
IMmotion151 フェーズ3試験 #LBA31
ドイツのミュンヘンで開催されているESMO2018でIMmotion151(NCT02420821)フェーズⅢ試験のデータが報告された。
腫瘍にPD-L1を発現する患者をスニチニブと比較して、アテゾリズマブとベバシズマブの併用療法が無増悪生存期間等に対して有効的であるかどうかを証明するため、IMmotion151試験が実施された。
以前に、フェーズⅡ試験(IMmotion150)で実施されたバイオマーカー分析は、エフェクターT細胞(Teff)およびインターフェロンガンマならびに血管新生に関わる遺伝子群が、アテゾリズマブ+ベバシズマブおよびスニチニブに対する差異と関連していることが示唆されていた。
IMmotion151では、823人の患者でバイオマーカー分析を検証するためにゲノム解析を実施し、Memorial Sloan Kettering Cancer Center(MSKCC)リスク群と肉腫組織学と血管新生に関わる遺伝子の関連性も評価された。
IMmotion151試験では、すべてのMSKCCリスクグループにおいて、PD-L1陽性患者のスニチニブに対するアテゾリズマブ+ベバシズマブが無増悪生存期間を有意に改善し、26%病勢進行または死亡リスクを減少させた。(ハザード比=0.74)さらに、肉腫組織型を有する患者において、無増悪生存期間を有意に改善され、44%病勢進行または死亡リスクを減少させた。(ハザード比=0.56)
腫瘍分子分析は、免疫組織染色法によって評価され、高発現のエフェクターT細胞がPD-L1発現と関連していることが示された。血管新生に関わる遺伝子の高発現でもスニチニブと比較して、アテゾリズマブ+ ベバシズマブで無増悪生存期間と関連していた(ハザード比=0.76)。
スニチニブを投与された患者では、血管新生に関わる遺伝子が高発現では無増悪生存期間が有意に延長された(ハザード比=0.59)。
血管新生に関わる遺伝子の高発現では、アテゾリズマブ+ベバシズマブとスニチニブ双方に 有効性を示し、両群に差は認めなかった。
(ハザード比=0.95)。
一方で、アテゾリズマブ+ベバシズマブは、血管新生に関わる遺伝子が低発現である患者の無増悪生存期間をスニチニブに比べ、有意に改善した
(ハザード比=0.68)。
血管新生に関わる遺伝子発現は、MSKCCリスク分類の低リスクから中リスク群の患者に対して有効な可能性があることも明らかとなった。
PD-L1の発現率は、肉腫様腫瘍ではより高く63%、非肉腫様腫瘍では39%であった。 血管新生に関わる遺伝子発現は非肉腫様腫瘍と比較して肉腫では
より低かった。
結論としてIMmotion151では、バイオマーカーで予想される評価は、転移性腎細胞がん患者の初回治療において、ベバシズマブによるVEGF阻害と、
アテゾリズマブのPD-L1阻害との組み合わせがスニチニブと比較して、臨床転帰を区別し得る有効な分子であることが示唆され、予後リスク群および肉腫組織型に関連する腫瘍ゲノムプロファイルも同定された。
IMmotion151のバイオマーカーの発見は、転移性腎細胞がんの生物学の理解を深め、同患者の個別化治療を可能にする治療戦略に使用される可能性が示された。
Molecular Characteristics of Clinical Response to Atezolizumab plus Bevacizumab Differ from Sunitinib in IMmotion151 Study(ESMO 2018, #LBA31)
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