こんにちは、メディカル・プランニング・マネージャーの川上です。

 私がオンコロに本格的に関わるようになって、まもなく1年になりますので、今回から年内は、私が、がん領域を志した原点である、アドボカシー支援に関する記事を書いていきたいと思います。

今回は、大変遅くなりましたが、今年7月19日〜21日に神戸で開催された、第16回日本臨床腫瘍学会学術集会(以下、JSMO2018)のPatient Advocate Program(以下PAP)について、とくに初日に開催されたセッション「患者会活動 A to Z~みんなが知りたいことを共有しよう~ (共催:ファイザー株式会社)」(以下、本セッション)について、レポートしたいと思います。

過去最多が参加したJSMO2018のPAP

日本臨床腫瘍学会では、2012年に大阪で開催された第10回学術集会(会長は中川和彦先生:近畿大学医学部内科学教室腫瘍内科部門 教授)より、患者さんを学会に公式に受け入れるプログラムとして、PAPの取り組みが始まりました。それ以来、ほぼ毎年、本プログラムのサポートをさせていただいてきましたが、今回の学術集会では、初めて、PAPのトラベルグラント(旅費・交通費助成)の募集もあり、62名の患者さん・ご家族の方がトラベルグラントを活用して学術集会に参加、3日間を通してのPAP受付人数は229名と過去最多でした。

患者会活動 A to Z~みんなが知りたいことを共有しよう~

本セッションでは、事前に、トラベルグラントを活用して参加予定の皆さんに、普段の患者会などの活動で困っていることや課題について、以下のカテゴリにてWebでご意見を募りました(ナンバリングは、コメントの多い順)。
1. 組織運営のこと
2. 資金調達
3. 活動の広報
4. 医療者との連携
5. 行政との連携
6. その他

共通の悩み「組織運営」「資金」

全国各地から寄せられた多くのお悩みに目を通していると、「あるある」ばかりで、NPO運営に10年携わってきた身として、どれも共感でき、ある意味、懐かしくもありました。本セッションは、これらを紹介しつつ、参加者の皆さんからのご質問、座長を務められた中西洋一先生(学術集会の会長、九州大学胸部疾患研究施設教授)からのコメント等で進められました。なかでもご意見が多かった「組織運営のこと」「資金調達のこと」について、ご報告します。

「組織運営のこと」に寄せられた悩みの例
・運営スタッフの数が少ない、それぞれの事情で会への関与の度合いもさまざま。
・PCやスマホを使わない方々と情報共有・意思疎通が難しい。
・運営は会員のボランティアで人手不足。
・代表1人にすべてがかかっていて、後継者の育成が難しい。

「資金調達」に寄せられた悩みの例
・法人化しておらず、患者会名義の通帳もなく、助成金申請ができない
・助成金申請や寄付依頼書類の作成は煩雑で手がまわらない
・寄付を募ろうと全国に案内を郵送しようと思ってもその郵送費すらない
・薬剤名を出して情報を届けるセミナーは製薬企業からは支援してもらえない

がん患者会の多くが、専用の事務局を持たず、専属のスタッフを配置せずに(できずに)活動しています。組織として法人格を持つ団体もあれば、任意団体もあり、また、そもそも「団体」という組織形態を取らずに活動している方々もいます。患者会の活動としては、定期的なおしゃべり会やサロンを開催する、年に1-2回、講師を招いての勉強会や公開講座を実施する、というのが定番的な活動ですが、活動を継続していくためには、人と資金が必要です。

学会も・・

本セッションでは、活動に取り組む多くの方々がこれらの共通の課題に悩んでいることを共有しました。中西先生からは「学会も、活動の始まりは有志メンバーが集まり、それぞれ忙しい仕事のかたわら、手弁当で活動していた。熱意が周囲に伝わり、賛同する仲間が増え、お金はあとからついてくる。」と、学会が組織として成長してきた経緯を振り返ってのエールをいただきました。また「患者会と学会が連携していくことで、より大きな発信も可能になるので、学術集会でぜひ存分に学び、交流していってください。」とのコメントもいただきました。

お金が先か人が先か

 資金面での困りごとも「あるある」です。多くの患者会は事務局機能を持たないため、書類作成にも困難を感じており、資金調達が難しく、人件費や事務局物件費が出ない、という無限ループにハマっているのが実態のようです。お金が先か、人が先か。卵とにわとりの議論のようです。また、製薬企業からの寄付や助成金を得ることの難しさは、がん領域独特の、製薬企業による薬機法の解釈(プロモーションに関する過度な自主規制)も背景にあるでしょう。

出会い・繋がる機会と場

 本セッションでは、こうした課題をすぐに解決できる具体的な解決策に辿りつくことはできませんでしたが、参加者の皆さんから、「自分たちはこうしている」「こんな風に乗り越えた」といったご意見をたくさんいただき、参加者の皆さんが、セッション終了後のほうがむしろ活発に、お互いに名刺交換・意見交換をされていた様子が印象的でした。
 上記した薬機法の解釈による自主規制をはじめ、さまざまな課題については、立場を越え連携し動いていくことで、少しずつ現状を変えていくことができるかもしれません。このように、学術集会が、患者会の皆さんが互いに出会い、繋がる場と機会となっていること、その場を自分がサポートさせていただいていることを、とても有難く感じた時間でした。

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この記事に利益相反はありません。

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