米国臨床腫瘍学会に参加していますオンコロの前原です。ASCO2018 5日目速報版レポートとなります。

抗体薬物複合体DS-8201aが有望な抗腫瘍効果を示す フェーズ1 #2501

セッションが重なり聴講できなかった新規治療開発のパートが1日目に行われ、HER2陽性の乳がんまたは胃がんであらゆる治療を受けた患者において、有望な抗腫瘍効果が得られることが、日米共同の大規模なフェーズ1試験から示された。

日本で創薬されたDS-8201aは、抗HER2抗体トラスツズマブ)に新規のトポイソメラーゼI阻害化合物を結合させた製剤。

フェーズ1試験は、HER2発現の固形腫瘍患者を対象に、DS-8201aの安全性有効性を評価するために行われ、2つのパートから構成されている。パート1は用量漸増コホート、パート2は用量拡大コホート。

パート2の対象は、T-DM1による前治療を受けたHER2陽性乳がん患者(免疫染色法:IHC 3+またはISH+)、トラスツズマブによる前治療を受けたHER2陽性胃がん患者(IHC3+またはIHC2+/ISH+)、標準的な化学療法による前治療を受けたHER2低発現(IHC 2+/ISH-、IHC1+/ISH-)の乳がん患者、その他のHER2を発現している固形腫瘍(大腸がん、非小細胞肺がんなど)の患者、そして薬物動態コホートとしてのHER2陽性またはHER2低発現(IHC1+、IHC2+、IHC3+および/またはISH+)の乳がん患者(薬物動態コホート)という内容。

データは2018年4月18日時点までに臨床試験を受けた患者のもので、HER2陽性乳がん患者は111人、HER2低発現の乳がん患者は34人、HER2陽性胃がん患者は44人、他のHER2を発現している固形腫瘍の患者は51人だった。

結果として、腫瘍の縮小率は全対象の86.3%、奏効率は49.3%だった。腫瘍の縮小が認められた患者の91.5%は、6週時の最初の画像評価で縮小が認められた。多くの症例で奏効は長期間持続していた。

がん種別に効果をみると、T-DM1による前治療を受けたHER2陽性乳がん患者99人では、奏効率は54.5%、病勢コントロール率93.9%、奏効期間中央値および無増悪生存期間中央値は医学統計学上未到達。前治療を受けたHER2低発現の乳がん患者34人でも、ほぼ同等有効性が確認され、奏効率は50.0%、病勢コントロール率は85.3%となり、治療奏効期間中央値は11.0カ月、無増悪生存期間中央値は12.9カ月だった。トラスツズマブによる前治療を受けたHER2陽性胃がん患者44人では、奏効率43.2%、病勢コントロール率は79.5%、治療奏効期間中央値は7.0カ月、無増悪生存期間中央値は5.6カ月であった。さらに、その他の固形腫瘍の患者51人では、奏効率は38.7%、病勢コントロール率は83.9%、治療奏効期間中央値は12.9カ月、無増悪生存期間中央値は12.1カ月だった。

有害事象の副作用発現内容は、DS-8201aを1回以上投与した患者で全グレード98.8%に発現し、グレード3以上は50.2%だった。治療関連有害事象は全グレードで97.5%、グレード3以上は41.9%。治療中止に至った有害事象は9.5%だった。死亡は4.1%(10人)発生し、内訳は肺臓炎4人、病勢進行2人、間質性肺疾患1人、イレウス1人、誤嚥性肺炎1人、肺炎1人だった。

多く発現した具体的な副作用は、嘔気68.9%(グレード3以上:2.5%)、食欲低下55.6%(3.3%)、嘔吐34.9%(1.7%)、好中球減少症25.3%(15.4%)、貧血32.0%(14.9%)、白血球減少症24.1%(12.4%)、血小板減少症28.6%(10.4%)など。また急性注入反応(インフュージョンリアクション)の頻度は低く、重篤なもは認められなかった。

結論として、T-DM1治療抵抗性のHER2陽性進行乳がんを対象とするフェーズ2試験が進行中であり、この試験でも有望な結果が得られれば、承認を目指したいとまとめられた。DS-8201aについては、その他にもHER2発現のさまざまながんを対象として複数の臨床試験が開始、実施中である。

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