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米国臨床腫瘍学会4日目速報版レポート~肺がんセッションより~

[公開日] 2018.06.05[最終更新日] 2018.06.05

米国臨床腫瘍学会に参加していますオンコロの前原です。ASCO2018 4日目速報版レポートとなります。

進行非小細胞扁平上皮がんに対する1次治療 IMpower131 フェーズ3試験#LBA900

この臨床試験は免疫チェックポイント阻害剤(PD-L1抗体)のアテゾリズマブとカルボプラチン+パクリタキセルもしくはアテゾリズマブとカルボプラチン+ナブ-パクリタキセルの3剤併用に対してカルボプラチン+ナブ-パクリタキセルの2剤併用を比較したもの。今回の発表はアテゾリズマブとカルボプラチン+ナブ-パクリタキセル(以下、アテゾ群)とカルボプラチン+ナブ-パクリタキセル(以下、プラセボ群)の臨床データであった。 患者はアテゾ群343名、プラセボ群340名に割り付けられた。 主要評価項目の無増悪生存期間は、アテゾ群で6.3ヶ月、プラセボ群で5.6ヶ月。病勢進行または死亡リスクを29%アテゾ群で有意に減少させた。PD-L1の発現率では高発現と低発現双方に無増悪生存期間への有効性を示したが、高発現でより顕著であった。 なお、PD-L1の発現が認められない陰性患者では有効性は認められなかった。初回の全生存期間解析では、両群に有意差はなく、アテゾ群14ヶ月、プラセボ群13.9ヶ月であったが、全生存期間は今後もフォローアップを継続するとし、のちに新たなデータが解析され発表される予定である。 免疫関連有害事象グレード3-4では、アテゾ群で肝炎が特に高く、免疫関連の全体のグレード3-4ではアテゾ群12%、プラセボ群2%とアテゾ群で高かった。 結論として、有効性はアテゾ群で有意な無増悪生存期間延長が認められ、全生存期間の臨床データアップデートは2018年の後半に行われるとまとめられた。

非小細胞肺がんに対する1次治療 IMpower150 フェーズ3試験#9001

非小細胞肺がん1次治療、アテゾリズマブ+化学療法±ベバシズマブと化学療法+ベバシズマブの比較試験で全生存期間の臨床データが発表された。 IMpower150は、ESMO免疫学会で無増悪生存期間がすでに発表されており、アテゾリズマブ+化学療法+ベバシズマブ(以下、アテゾ群)8.3ヶ月、化学療法+ベバシズマブ(以下、プラセボ群)6.8ヶ月。病勢進行または死亡リスクを41%減少させている。 ASCO2018では、全生存期間の臨床データが発表となり、アテゾ群の患者数400名、プラセボ群も400名で均等に割り付けられた。 全生存期間はアテゾ群19.2ヶ月、プラセボ群は14.7ヶ月となり、死亡リスクを22%減少させた。この試験ではEGFR変異陽性患者、ALK融合遺伝子陽性患者も含まれているのが特徴的である。 EGFR変異陽性患者で死亡リスクを46%減少、ALK融合遺伝子陽性患者は死亡リスクを22%減少させた。また、PD-L1の高発現患者でより有効的なリスク減少を示している(30%減少)。 肝転移を有する患者ではアテゾ群の全生存期間は13.2ヶ月、プラセボ群9.1ヶ月であり、46%死亡リスクを減少させた。 免疫関連有害事象発現は、アテゾ群で高くグレード3-4の発現率は肝炎、肺臓炎、腸炎が顕著であった。重篤な副作用により治療中止となった患者は、アテゾ群で34%、プラセボ群は25%であり、やはりアテゾ群で高かった。 結論として、アテゾ群はプラセボ群に比べ有意に全生存期間を延長させ、EGFR変異陽性、ALK融合遺伝子陽性患者でもその有効性があり、標準治療のひとつになりうるとまとめられた。 この臨床試験は、6月4日(米国・シカゴ時間)で ニューイングランドジャーナルオブメディスンに 論文掲載された。

非小細胞肺がん NEJ009試験 フェーズ3#9005

NEJ009試験は日本の臨床試験。EGFR変異陽性進行非小細胞肺がんの1次治療で、ゲフィチニブにカルボプラチンとペメトレキセドの併用とゲフィチニブ単剤の比較試験。 結果、全生存期間は併用群で有意に延長した。ゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセドの全生存期間は暫定で52.2ヶ月、ゲフィチニブ単剤は44ヶ月だった。死亡リスクを併用群は31%有意に減少させた。 副作用発現は全体的に併用群で多い傾向であった。 詳細は後日アップします。
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前原 克章

大学では英文科を専攻し、在学中に3度米国シカゴ大学へ留学。20年間医薬品・医療機器総合商社勤務。がん疾患の医療・治療にかかわって12年が経過。2018年4月から株式会社クロエへ転身、がん情報サイト「オンコロ」にも携わる。米国臨床腫瘍学会(ASCO)、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)、米国癌学会(AACR)、日本臨床腫瘍学会(JSMO)など会員。

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