2017年7月27日から29日にかけて、日本臨床腫瘍学会学術集会(the Japanese Society of Medical Oncology Annual Meeting::以下JSMO)が、神戸コンベンションセンターにて、サテライト会場の岡山大学鹿田キャンパスと同時中継にて開かれました。今年で15年目となります。
参加したオンコロメンバーである中島乳がんサバイバー)より、レポートをお届けします。

JSMOとは

認定研修施設での研修を修了した医師を対象に、書類審査、筆記試験および口頭試問によってその適格性を慎重に判断したうえで、がん薬物療法専門医を認定し、以てがんに対する治療成績の向上を図り、公共の福祉に貢献することを目的とした学会です。
学術集会は、がんに特化した最新の研究発表が各会場にてテーマに沿って発表が行われます。
参加者のそのほとんどが、医療従事者となります。

第15回 JSMOのテーマ

今年の学術集会では、「最適のがん医療~いつでも、何処でも、誰にでも~」をテーマに、がん対策基本法が施行されて10年、医療従事者、研究者だけでなく、患者さんや市民の皆さんとも議論・検証し、将来に向けた方策を探る、4項目のサブテーマが掲げられました。

1.どこにいても最適のがん医療を受けられるのか、日本における「均てん化の検証」をし、将来にむけた方策を議論しました。

2.近年、治療法は多岐にわたり、ある薬剤が特定の臓器のがんに効くと、他臓器のがんにおいても研究が一気に進む時代です。一定の臓器に限らずに「領域横断的体系の継承」の方向性に沿って幅広いテーマが取り上げられました。

3.本来、海外にいる優れた人材が日本で活躍できる、その受け皿を作る「グローバル化のさらなる推進」。プログラムは総演題の10%が海外からのものである他、国際シンポジウムを組んで71演題が英語で発表されました。本来の意味であるグローバル化に取り組まれた演題構成でした。

4.これまでにない知見を多数発表していただく「最新成果の公表と情報共有」は、学会においてトップサイエンスは最も大切な意義です。


 

JSMOロゴに込めた意味

今年の学会の会長は、岡山大学大学院 血液・腫瘍・呼吸器内科学講座 教授 谷本光音先生が務められました。
岡山県の名産、マスカットのモチーフおよびカラーがJSMOのロゴに使用されています。
神戸ポートタワーは、29日(土)まで、各日19:00~23:30までマスカットの色(Green)に点灯されました。


また、神戸モザイクにある観覧車には、開催前夜26日(水)から28日(金)の3日間(夜19:00~22:00の間・20分に1回間隔)学術集会参加者を歓迎するウェルカムメッセージ「Welcome to JSMO 2017 in KOBE」が掲出されました。学会期間中は、神戸の街全体がJSMOを盛り立ててくださいました。

秋のピンクリボン月間にあたる10月1日には、毎年東京タワーや京都清水寺本堂などが、ピンクカラーにライトアップされ、乳がんの啓発活動に協力されています。私はサバイバーなのでその意味を理解していますが、他の方々はどのように感じているでしょうか。
学会期間中のマスカットカラー・ライトアップの持つ意味が街全体に浸透されているか、肌身で感じることができれば、の印象を受けました。

開催中のタイムリーな情報の取得方法

会場である神戸コンベンションセンターは、非常に広大な面積を誇る施設です。3日間、各ルームでは、さまざまなテーマの発表が行われています。JSMO事務局では、参加者各々が聴講したいセッションのスケジュールのサポートとして、専用アプリを提供していただきました。期間中のセッションは膨大な講座数です。参加者はスマートフォンからアプリをダウンロードすることにより、いつどこでどのようなテーマが発表されているかが簡単に確認することができます。参加したいセッションにブックマークをつけることにより、自動的にタイムスケジュールを容易に組むことができたことが、便利なツールとなりました。

また、展示場等では、JSMO Daily Newsが開催期間中の3日間毎日配布され、前日の発表等がまとめられた情報を確認することができたことは、参加者にとっては非常に有益な情報源となりました。

ペイシェント・アドボゲイト・プログラム(Patient Advocate Program:以下PAP)

学会は、参加者の大半を占める医療従事者向けの講座内容です。必然的に専門用語が飛び交う内容ですので、医療知識なしでは、そのすべてを理解することは容易なことではありません。
PAPは、医療関係者以外にも患者さん、そのご家族、一般の方々に対し3日間を通して専用ルームを設け、がんについてわかりやすく学べるプログラムが提供されました。

今年の学会の大きな特徴として、神戸会場のPAP会場と、サテライト会場として岡山大学鹿田キャンパスを3日間同時中継し、公開講座の形で双方から積極的な意見交換が行われました。今年のテーマを軸に各会場からの相互交流プログラムも組まれており、岡山会場からは、がん体験を生かした社会への発信活動が発表され、地元に根付いている体験発信は、全国各地で行われていることを再確認することができました。
相互交流プログラムは、サバイバーの生の声をダイレクトに聴講することができます。より多くの医療従事者の方々の参加が望まれた点です。

最適ながん医療を受けられる社会の実現に向け、立場を超えた学び合いの機会をいただけたことは一人のサバイバーとしても大きな収穫であり、各地の患者会の活動を医療関係の皆さんにご理解いただく良き機会となったのではないでしょうか。

PAPには、延べ230名以上のご参加がありました。すべての方々の想いや学びが確かに存在したプログラムとなりました。

The Best Cancer Care – Anytime, Anywhere, and for Anyone

事前登録や国内外の招聘講師も含め、今年はこれまでの学術集会の中で最も多い6,460名余りのご参加がありました。開催期間中は、がん医療の多くの課題について討議をすることができた3日間でだったのではないでしょうか。

今年のJSMOでは、微力ながらオンコロスタッフもプロモーションビデオにおいてメッセンジャーとして出演し、サポートのお手伝いをさせていただきました。

医療の研究は日進月歩です。『がん』という病から救われる新薬が今後も益々普及されることを祈らずにはいられません。また、全国の医療現場において平等な診療を提供いただくことも大きな課題では、と感じています。
今年の学会テーマを念頭に、収穫と課題を持ち帰られ、よりよいがん医療の発展に尽くされていただけることをサバイバーの立場から強く願います。
オンコロも、がん情報サイトとして有益で正しいニュースを、今後も引き続き発信してまいります。

次回は、一人のサバイバーの目線からペイシェント・アドボゲイト・プログラムについてレポートいたします。


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