がんサバイバー・スピーキング・セミナーに参加して


  • [公開日]2017.04.11
  • [最終更新日]2017.04.11

オンコロの鳥井です。
3月25日(土)に認定NPO法人キャンサーネットジャパン主催Over Cancer Together~がんを共にのりこえよう~のがんサバイバースピーキングセミナーに参加しました。このスピーキングセミナーはがん体験者が自身の体験談を話す上での基本的なマナーから体系立った話の組み立て方などを学ぶセミナーです。セミナーの卒業生の何名かは8月に開催されるJapan Cancer Forum 2017のセッションで体験談を話します。

【昨年のJapan Cancer Forumの様子】
2016年8月6日(土)Over Cancer Together “キャンサーサバイバーズボイス~がんサバイバーの声を聴こう~”
http://www.cancernet.jp/jcf/2016/program/oct01/
2016年8月7日(日)Over Cancer Together “キャンサーサバイバーズボイス~がんサバイバーの声を聴こう~”
http://www.cancernet.jp/jcf/2016/program/oct02/

Over Cancer Togetherとは
「Over Cancer Together~がんを共にのりこえよう~(OCT)」キャンペーンは、がん患者とその家族、遺族、ケアをする人、友人など、広くがんに関係のある人々(=キャンサー・サバイバー)が自分の体験を語り、その話を聞くことで、日本のがんに関する課題を明らかにして 「がん患者を含む国民が、がんを知り、がんと向き合い、がんに負けることのない社会(*1) 」の実現を目指そうというキャンペーンです。性別、年齢、がんの種類は問いません。
OCTは、リブストロング財団と米国がん協会のキャンサー・サバイバーの草の根運動を支援する世界的な活動の一環として 、その趣旨に賛同した日本の多数の団体が協力しながら、「キャンサー・サバイバー・フォーラム」の開催などさまざまな活動を行っていきます。
http://www.octjapan.jp/about
*1 厚生労働省「がん対策推進基本計画」(2012年6月)より

第4回を迎えた本セミナーは全国各地から集まった30名のサバイバーが受講し、技術・知識の習得や情報交換を行いました。その内容を簡単にレポートします。

イントロダクション

認定NPO法人キャンサーネットジャパン 理事・事務局長 川上 祥子さん(2017年3月25日時点)

Cancer Survivorについての概念の説明“Cancer Survivorとは1986年、米国のNCCS(The National Coalition for Cancer Survivorship)が「サバイバーは、がん告知を受けた個人がその生涯を全うするまでを意味をする。その家族、友人、ケアにあたる人々なども、その影響を受けるので、サバイバーに含まれるべきである」と定義されている”がありました。

また本イベントは「サバイバーが体験談を話すことの意味を知る」「他のがんサバイバーの方が抱える問題を知る」「効果的な体験談の組み立て方、人前での話し方のポイントがわかる」等のゴールがあり、それをゲストのお話より学びアウトプットしてもらうといったお話がありました。

OCT卒業生体験談と活動報告

悪性リンパ腫、乳がんサバイバー砂川 未夏さん、スキルス胃がんサバイバー 沖 真由香さん、耳下腺・腺様嚢胞がんサバイバー浜田 勲さん、胎児性がんサバイバー 岸田 徹さんの4名からお話がありました。

さすがは数々の場で体験談をお話しされている方々だけあって、がん経験者以外にもわかりやすい治療歴の説明や、治療時のリアルな心境が伝わってきました。その中でも印象的であったのは、みなさんこのOTCが原点となり各々の思う活動をされいるという内容でした。

医療者からアドボケイトとしてのサバイバーに期待すること

聖路加国際病院 乳腺外科部長・ブレストセンター長 山内 英子先生

山内先生からはサバイバーに期待することとして3つ挙げられました。「使命を感じる」「時期を考える(時をあせらないでほしい)」「想いを行動にうつす」と。これらのお話をBRCA変異を受け、乳房の予防切除を行ったアンジェリーナ・ジョリー氏、聴覚障害を持ちながら第70代ミス・アメリカを獲得したヘザー・ホワイトストーン氏、日本初の乳がん患者会あけぼの会の誕生などを例に挙げお話しされました。最後に病気を通じて自分のあたえられた役割を行うことが大切とおっしゃりました。

がんの政策を知ろう

一般社団法人グループ・ネクサス・ジャパン 理事長 天野 慎介さん

天野さんは27歳の時に悪性リンパ腫に罹患されました。セッションではがん対策基本法成立の歩みやがん対策基本法改正案成立へのハードルをどう乗り越えたか等についてお話しいただきました。印象的であったのは計画書にある表記の数文字かえるのに1ヶ月を要したという内容です。また「患者の立場から発信できるので、まずは声を上げていくことが大切である。」ともおっしゃっていました。

取り組みと課題・患者に期待すること

MBS(毎日)報道局 記者 橋本 佐世子さん

橋本さんは可能であるならば「名前」「顔」を出すことでリアリティが増すと、実際にご自身のニュース番組の特集で取り上げたBRCA遺伝子変異を持つ乳がんサバイバー加藤 那津さんを例におっしゃっていました。また正しい情報伝達はインパクトが弱くテレビでがんを取り上げる難しさについても言及していました。

がんアドボケートこれまでとこれから

山梨まんぷくくらぶ代表/NPO法人がんフォーラム山梨 理事/厚生労働省がん対策推協議会委員 若尾 直子さん

乳がんサバイバー、白血病サバイバーである若尾さんからはがんフォーラム山梨の運営経験から、七位一体となったがん対策の重要性を述べられました。七位とは行政府、立法府、教育分野、医療分野、報道、企業のことです。文化を変えるためには、スタンドアローンではなく、様々な分野の人と組む・巻き込むことが大切だとおっしゃっていました。

体験談を作成する

認定NPO法人キャンサーネットジャパン 大友 明子さん

午前、午後にかけインプットをし、いよいよアウトプットです。まず受講生は5分ほどの体験談を作ります。作成するに当たり大友さんから体験談の組み立ての解説がありました。

1、メッセージを整理する
2、付随する体験を考える
3、構成を考える

これを参考に受講者は実際に体験談を作成し、ペアワークを行いました。

患者アドボケートとしてのマナー

認定NPO法人キャンサーネットジャパン 理事・事務局長 川上 祥子さん

川上さんからは話すマナーとして下記の5点を挙げられました。
1、 人 対 人 「マナー」
2、 場と目的
3、 伝えたいこと伝えるべきこと
4、 伝わる方法の工夫

人前で話すためのスタンスや講演依頼者の意図を把握して話すことの重要性についてお話しいただきました。

ソーシャルメディアを利用する

認定NPO法人キャンサーネットジャパン 柳澤 昭浩さん(2017年3月25日時点)

柳澤さんからはソーシャルメディアを利用する上での7つの注意点について述べられました。
① 定のプロダクト・サービスの販売を目的としない
② 特定の政党・政治家
③ 特定の宗教・宗派
④ 同じコメントを繰り返す行為
⑤ 他を傷つけるコメント
⑥ 著作権に反するコメント
⑦ 性的・民族的な発言

体験談の発表

受講生5グループの各代表が5分の体験談を発表しました。私も発表しました。5分の発表にも関わらず、4分で終わってしまう失態。人前で話す難しさを体感しました。

参加してみて

このイベントに参加をして、サバイバー同士のつながりを持つことが出来ました。いつもですと、若い世代の首都圏に住む方とは親しくなることが多かったです。しかしこのイベントでは全国の様々な年齢の方々が参加されていました。普段知り合う機会ない方々との交流が出来ました。

また体験談を作成する・話すことの難しさを体感。伝えたいことを考えていると、「そもそも何を伝えたかったのかな?」「こんなこと伝えて意味があるのかな?」などが頭の中に浮かびました。

ただ、がん体験を通じて感じたことを素直に話すことが大切かなと、イベントを通じて最終的に思いました。それに気づくことが出来た素晴らしいスピーキングセミナーでした。

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