オンコロの可知です。

2015年5月15日から開始して半年間経過しました。
まずは、オンコロのWebサイトにご訪問されている皆様に感謝いたします。

オンコロプロジェクトは専任者がいませんので、提供する情報量や情報の質が本業の仕事量によって左右されている、「ムラ」のあるWebサイトとなっていますが、引き続きご訪問頂ければ幸いです。

オンコロの運営する意味とは?

この半年間がむしゃらに運営してきました。

当初から掲げているものとして、より多くの患者さんに臨床試験を紹介していきたいという想いがあります。

患者さんからの問い合わせも月に数名から頂いていますが、印象深い出来事がありましたので紹介したいと思います。

それはオンコロを開始して1か月経過した6月19日。お子さんがいらっしゃる女性から以下のような問い合わせがありました。(本人の許可を得て掲載しております)

「はじめまして。突然のメッセージすいません。私も遺伝子乳癌でBRCA1に異変があり再発してしまいました。●●●●の再発治験も行われているみたいなのですが、その時は知らず主治医の言うとうりにして、また、抗がん剤受けた為治験が受けれなくなりました。でも、●●●●をどうしても諦めきれないのですが、何か良い方法がありますか? 少しでも情報が欲しいです。よろしくお願い申し上げます。」
*●●●●は薬剤名

このメールはオンコロへの初めての問い合わせであり、当初、どのように対応するべきかを悩みました。
なぜ悩んだかというとまず、我々は医師免許を持っていないため、治療に対する助言はご法度です。また、●●●●はBRCA1変異陽性の卵巣がんに対するエビデンスは蓄積されていますが、乳がんに対しては臨床試験中であり、海外情報でも確立されたものではなかったからです。

「情報提供を断念したほうが良いかもしれない」という意見もありましたが、乳がんでPARP阻害薬(BRCA変異陽性に効果があるといわれている薬剤。●●●●もPARP阻害薬)の試験を探してみて、「こういった試験がありますよ」という程度であれば助言しようということになりました。

そこで、『①我々のスタッフには医師が存在しません。よって、医療の推奨は法律により禁止されています。最終的にはご担当医師のご判断に従ってください』、『②我々はあくまでも一般に公表されている情報しか教えることができません。』と連絡を行い、それでも「お願いします」という返答があったため、●●●●の試験を探すこととしました。

彼女の詳細は以下の通りです。

BRCA1/2変異陽性、トリプルネガティブ(HER2陰性、ホルモン受容体陰性)、扁平上皮乳がん、周術期療法(手術前後の抗がん剤治療)として術前にEFC(エピルビシン+シクロフォスファミド、5-FU)→ドセタキセル、術後にカルボプラチン+パクリタキセル、再発後療法としてアバスチン+パクリタキセル、ハラベン

上記情報より、●●●●の臨床試験を探すと、該当しそうな試験が1つありましたが、問題点が4つありました。

第1に、扁平上皮乳がんといういうこと。通常、乳がんは腺癌であり、臨床試験も腺癌に限定しているケースも多く、公開している情報ではそれが読み取れないことが多いです。
第2に、レジメン数(治療歴)が複雑であったこと。該当する試験には『3次治療以上の抗がん剤を受けている方は除外である』と記載があり、彼女のケースはぱっと見は4つの治療を行っていました。ご自身でかなり調べられていたこともあり、彼女自身も該当臨床試験情報まではたどり着いていました。ただし、この部分が適格ではないと考えていたようです。
しかしながら、周術期の治療は、一定期間経過してから再発しているとカウントされません。その場合、レジメン数は再発後の2カウントになりえますが、公開情報にはレジメンのカウントルールの記載がありませんでした。
第3に、彼女は地方居住であり、該当都道府県には治験実施施設はなかったこと。治験を実施するために遠出しなければなりません。
第4に、該当の試験に参加できても、●●●●を使用できるかは50%の確率であること。第3相試験であり、対照群が存在しました。

6月21日、上記結果を伝え「該当臨床試験に参加できる可能性があるため、公開情報が掲載されているJAPIC-CTIの問い合わせ先の製薬メーカーの連絡先に問い合わせては如何でしょうか」と提案しました。

その後、6月22日に以下の連絡がありました。

「こんばんは。いつもお世話に なります。今日、製薬会社様に連絡したところ、個人に詳しく話せないとのことでしたが、主治医には詳しく連絡出来るそうなのでお願いしました。オンコロ様のおかげで、事が少し進んで、嬉しいです。あとは、主治医が情報をちゃんと確認してくれることを願うばかりです。ありがとうございます。頑張って生きます‼」

上記以降、連絡が途絶えていましたが、10月22日に以下のような連絡がありました。

「オンコロ様に教えてもらいX社に電話してX社から主治医に連絡でやっと、A病院を紹介してもらい検査を経て10月19日の夜、念願の●●●●を服用しています‼︎これも、オンコロ様のご協力があったから治験を受けられました。ありがとうございます。たまたま、FBでオンコロ様の記事を見てダメ元で相談したら熱心にお返事下さいまして、今の私が有ります。また、厚かましいお願いですが奇跡が起きて治癒するようにパワーを送って下さい‼︎本当に感謝しています。ありがとうございます。」

なんと、彼女は治験に参加できたとのこと。しかも、●●●●を投与する群に割り付けられたようです。彼女は術後補助化学療法終了後から数カ月余りで再発していたため、8割方不適格の可能性があると思いながら支援していましたので、正直、嬉しく思いました。

さて、このケースですが、「私たちがとても良いことをやっていますよ」とアピールしたいわけではありません。3つの問題点が浮き彫りになったケースだと考えています。

先日、NHKがクローズアップ現代にて免疫チェックポイント阻害薬の特集を放映した翌日、我々のもとに免疫チェックポイント阻害薬の治験を紹介して欲しいという問い合わせが多数ありました。

日本には治験がないから、海外の治験を紹介して欲しいという問い合わせもあります。

なんでもいいから情報が欲しいという問い合わせもあります。

1つ目の問題は、上記のように問い合わせも増えてきて考えさせられるのは、「効果があるかどうかを検証しているオンコロジーの臨床試験への紹介というのはとてもナーバスな問題である」ということです。オンコロは臨床試験情報を積極的に紹介していますが、臨床試験が最善の手段ではないかもしれません。次の半年間はそういった点もきちんと伝えていかなければならないと考えさせられます。

2つ目の問題点は、紹介するにしても時間的な問題があると考えています。彼女のケースですが、6月22日にx社に問い合わせて10月19日が初めての服薬となります。時間的に開きすぎていると考えています。進行期のがん患者さんは時間との戦いでもあると思います。主治医に相談するのは必須としても、ダイレクトに施設に紹介できればもう少し早く服薬できる状況になるのではないでしょうか。これは、治験実施依頼者側の理解を得る必要があります。

3つ目の問題点は、治験医療機関側です。現在、オンコロジー分野において、その施設やその提携医療機関以外から治験のための患者を募集するのを嫌う傾向があり、その原因としては「トラブルが心配である」、「煩雑な手続きが発生する」といったことが多いです。この点は、医療機関側に誤解があると考えていますので、その点をどのように誤解を解くか?、どのように軽減できるかを考えていくべきだと思います。

長々と書いてしまいしたが、次のステップとしてはオンコロ内での完結型の臨床試験紹介システムの構築です。ただ今、製薬企業や医療機関にアプローチ中となります。

オンコロには目標となる民間のWebサイトが2つあります。
38万人の会員を有する希少疾患患者のSNSである米国Patient Like Me(https://www.patientslikeme.com/)と世界最大の臨床試験掲載サイトである米国Center Watch(http://www.centerwatch.com/)です。

これらのサイトを足して2で割ったサイトが目標ですので、長い目で見守って頂ければ幸いです。

記事:可知 健太


人気記事