BRCA1(ぶらっかわん)とPARP(ぱーぷ)阻害薬について


  • [公開日]2015.04.28
  • [最終更新日]2019.05.14

火曜日担当のカチです。
最新の臨床試験情報を収集している日々です。

最近、PARP阻害剤っていう分子標的薬の開発の話題が目につきます。臨床試験(治験)も乳がん・卵巣がんで活発ですね。昨日はこのPARP阻害剤について色々と調べていました。

この薬剤はBRCA1/2遺伝子変異を有する「◯◯がん」っていうのに効果が期待されていますが、今日はBRCAについてのお話です。

BRCAといえばアンジェリナージョリーさんの卵巣切除の話が今話題ですね。

「BRCAってなんだ?」って話ですが、まず読み方は「びーあーるしーえー」とか「ぶらっか」とか「ぶらか」とかよばれています。正式名は「breast cancer susceptibility 」で訳すと「乳がん感受性」、BRCA遺伝子は「乳がん感受性遺伝子」ってことです。名前の由来は家族性乳がんの原因となる遺伝子として1994年に発見されたことにあります。発見したのは日本人の三木義男先生らの研究グループみたいです。BRCA遺伝子には2つの種類があり、BRCA1とBRCA2があります。

アンジェリーナさんは、BRCA1遺伝子に変異(異常)が見つかったため乳房切除していましたが、先月、卵巣及び卵管も切除しましたね。色々と賛否両論の意見がありますが、BRCA遺伝子に変異があると、乳がんや卵巣がんの発がんリスクがすごく高くなります。

「すごく高くなる」ってどの程度かというと、乳がんは40~80% 、卵巣がんは11~40%程度が生涯の発がん確率です。ニュース記事をみますと、ご本人は「何もしなければ87%の確率で乳がんに、50%の確率で卵巣がんになる」と診断されたみたいです。

その他、 男性乳がん(少ないですが男性も乳がんになります)は1~10%。 前立腺がんは最大で39%、 膵がんは1~7%です。

因みにこの数字は文献によって多少増減します。今回はGeneReviewsという医学誌に掲載されたBRCA1 and BRCA2 Hereditary Breast and Ovarian Cancer(日本語版)の文献参考しています。

また、「どのくらいの人がBRCA遺伝子に変異があるの?」という疑問を持ちますが、乳がんでは3~5%、卵巣がんは10%程度ということです。この遺伝子変異は子供に遺伝します。よって、遺伝性乳がん・卵巣がん症候群と呼ばれています。

じゃあ、アンジェリーナさんの選択肢はどうか?というと、個人的には何とも言えません。ただ、生涯発症確率87%は非常に高値ですが、2人に1人はがんになる時代です。また、これらを切除すると女性ホルモンにも影響が出るだろうし、切除リスクがあります。これを各自がどうのように考えるかではないでしょうか。

1つ思うことは、がん保険ですかね。BRCA遺伝子変異があるとがん保険に入れなくなるかは知りませんが、かけれるのであればかけた方がいいと思います。

最後にBRCA遺伝子変異とPARP阻害剤についてスライドにまとめました。近日中に詳しことも含めてオンコロ辞典にアップする予定です。結構難しいですが、興味がある方は是非確認しててください。

BRCA遺伝子変異
PARP阻害剤

 

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