国際肺癌会議 速報版レポート ~第3世代ALK/ROS1阻害薬ロルラチニブ~世界肺癌会議 WCLC 2018


  • [公開日]2018.09.26
  • [最終更新日]2018.09.26

 第3世代ALK/ROS1阻害薬ロルラチニブ(商品名ローブレナ;以下ローブレナ)が、ROS1融合遺伝子陽性進行非小細胞肺がんに有効であることが明らかとなった。
 ALK転座陽性またはROS1転座陽性の進行NSCLC患者を対象に行われているフェーズ2試験のROS1陽性患者のコホートで有効性が認められた。
 またクリゾチニブ(商品名ザーコリ;以下ザーコリ)既治療、未治療のどちらの患者で効果は早く確認されかつ持続的な抗腫瘍効果が認められた。
 解析評価人数は限られるが脳転移への有効性も示された。

試験概要

 進行中のフェーズ2試験には、ALK転座陽性またはROS1転座陽性の進行NSCLC患者275人(脳転移のある患者とない患者のどちらも含む)が登録された。
前治療によってALK転座陽性患者は拡大コホート(EXP)1から5のコホート、ROS1陽性患者はEXP6コホートに分けられている。
 今回発表されたのは、未治療またはROS1阻害薬、化学療法の治療歴を有するROS1陽性患者で構成されたEXP6コホートの結果。
 EXP6コホートはザーコリ未治療患者13人、ザーコリ既治療患者34人の47人が登録された。
 ローブレナは、3週間を1サイクルとして1日1回100mgが投与された。

患者背景

 47人の患者背景は平均年齢が52.8歳、女性が57.4%、白色人種が53.2%、アジア人が34.0%。
脳転移があったのは53.2%。

試験結果

・ザーコリ未治療患者13人での奏効率は61.5%で、完全奏効が1人(7.7%)で認められた。
奏効期間中央値は19.6カ月、12カ月以上の奏効期間が得られたのは8人中5人(62.5%)。
無増悪生存期間PFS)中央値は21.0カ月。

・ザーコリ未治療患者で脳転移があった6人中4人で効果が認められ、頭蓋内奏効率は66.7%で、頭蓋内の完全奏効3人で認められた。
頭蓋内奏効期間が6カ月以上だったのは4人中2人だった。

・ザーコリ既治療患者34人での奏効率は26.5%で、完全奏効が2人(5.9%)で認められた。
奏効期間中央値は臨床統計学的に未到達、12カ月以上の奏効期間が得られたのは9人中5人(55.6%)。
無憎悪生存期間中央値は8.5カ月。

・ザーコリ既治療患者で脳転移があった19人中10人で効果が認められ、頭蓋内奏効率52.6%で、頭蓋内完全奏効は8人(42.1%)。
頭蓋内奏効期間が6カ月以上だったのは10人中6人だった。

安全性

 グレード3/4の治療関連副作用は23人(48.9%)で発現
投与遅延を余儀なくされた患者は36.2%。
減量投与を行なった患者は23.4%。
投与中止となった患者はいなかった。

なお、ローブレナ(ファイザー)は9月21日、ALKチロシンキナーゼ阻害薬に抵抗性または不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんを対象に、厚生労働省から製造販売承認を獲得したと発表されている。
これは条件付き早期承認制度にもとづいて承認されたもの。
ローブレナの承認は世界で初めてとなる。

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