RareAs.(レアズ)プロジェクト始動 「希少疾患領域」の医療情報提供にソリューションを・・・ALS/MNDサポートセンターさくら会を訪問


  • [公開日]2017.10.03
  • [最終更新日]2017.10.03

オンコロの可知です。

公にするのは初めてですが、現在、オンコロの姉妹サイトである「RareAs.(レアズ)」というWebサイトを開発中です。といってもコンセプト練っている段階ですが・・・

「RareAs.」とは、「希少疾患」をテーマにした「オンコロ」みたいなWebサイト(となる予定)です。

2015年5月から運営してきたオンコロですが、皆様の協力もあり、何とか軌道に乗りつつあります。

これと似通ったモデルで「希少疾患」をテーマとしたWebサイトを作れないかと思いついたのは、半年程度前のことでしょうか。

「がん」と「希少疾患」は、『アンメット・メディカル・ニーズ領域であること』『患者さんやそのご家族などが頻繁に情報を探していること』、にもかかわらず『(がんの場合は情報の海に溺れ、希少疾患の場合は情報が少ないという違いはあれど)情報を探し出すのは難しい領域であること』という共通点があります。

よって、そんな患者さんや家族の方々に医療情報ソリューションを届けられないかを考えて参りました。

しかしながら、希少疾患は「7000種類という疾患数」「病態の共通点が大きく異なるものがある」など、そのまま、オンコロの仕組みを取り入れても、運営が行き詰まることは明白です。

故に、工夫が必要ですが、それでもチャレンジしていく領域として、現在、様々な患者会を訪れたり、専門家に面会したり、製薬企業に意見を聞きに行ったり、様々な検討を重ねています。

昨日は、特定非営利活動法人ALS/MNDサポートセンターさくら会を訪れ、副理事長の川口有美子氏(日本ALS協会理事兼務)達と議論を交わしました。

ASLは筋萎縮性側索硬化症といい、身体を動かすための神経系(運動ニューロン)が変性する病気です。変性というのは、神経細胞あるいは神経細胞から出て来る神経線維が徐々に壊れていってしまう状態をいい、そうすると神経の命令が伝わらなくなって筋肉がだんだん縮み、力がなくなります。しかもALSは進行性の病気で、今のところ原因が分かっていないため、有効な治療法がほとんどない予後不良の疾患と考えられています。(日本ALS協会)
(MNDは運動ニューロン病という広義の病態を示し、ALSもその一種です)

日本における年間罹患者数は人口10万人当たり約1-2.5人(1000~3000人程度)とされる、難病かつ希少疾患です。

数年前に「アイス・バケツ・チャレンジ」でのドネーション活動が行われたのは記憶に新しいですし、漫画「宇宙兄弟」でもヒロインのセリカさんのお父さんがALSで命を落とし、主人公の恩師であるシャロン先生が発症する疾患ですので、一般の方も耳にしたことがあるのではないでしょうか。

ALS研究費用を集める、「セリカ募金」という寄付活動も実施されているようです。


ALSの治療方法を見つけるための研究開発費をあつめる「せりか基金」

さて、2時間にもわたる議論させて頂き色々なことが見えてきますが、特に印象的だったのは、患者会運営が非常に難しいことでしょうか。

平成24年度に実施された「国内患者会と難病研究に関する調査(厚生労働省科学研究費補助金 難病性疾患等克服研究事業)」では、希少疾患の患者会の特長を次のように述べています。

・個人自宅を事務所としている団体が37.8%
・平均職員数は3.73名だが、0~2名程度の団体が最も多い
・非常勤職員の半数以上、常勤でも半数近くが無給
・収入は会費(賛助会費含む)が93.9%で、500万円未満が53.6%
・研究協力へは93%の団体が「協力できる」と回答

さくら会も上記に大いに当てはまり、川口氏も「かなり大きい患者会でも活動不可能となりつぶれてしまうこともある」と述べていました。さらに「拠点を構えることだけでも死活問題」ということで、活動することの難しさをも物語っていました。

では、「RareAs.」が目指すソリューションとは??

「患者会のインフラを物理的・IT的に整えてあげること」が1つのテーマといえるかもしれません。

オンコロを運営していわかったことが沢山あります。

それは、スタンドアローンでは難しいこと。

それは、Webサイト上の一方通行の情報提供では、決して信頼に足るWebサイトにはならないこと。言い換えれば、情報提供だけではソリューションには程遠いこと。

それは、文章や図だけでは、患者さん等が腹落ちする基本情報を提供するのは難しいこと。

それは、多くの患者さんやご家族、医師等の専門家と多く対話していかないと、ヒントが得らないこと。

それは、継続し続けることが如何に難しいこと。

こういったノウハウを活かし、希少疾患領域の情報にソリューションを提示できればと思っている所存です。

なお、半年間、「あーでない、こーでもない」と議論していくうちに、壮大なWebサイト構成になってしまっており、いつ開設できるかわからなくなってしまったので、取り急ぎ、情報提供機能のみを実装したベータ版「RareAs.」を近日中に開設しようと思っていますので、開設しましたら意見いただければと幸いです。

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