オンコロの可知です。

父方の祖母が亡くなり実家に帰ってきています。祖母は、半年前から大腸がん腹膜再発となりましたが、すでに90歳近いため無治療で経過観察のみでした。進行はかなり緩やかなものであり、最終的には、がんというよりは肝不全のため亡くなりました。私は臨終には立ち会えませんでしたが、金曜日までは意識があったみたいです。

さて、私の実家は、もとは長野県木曽郡山口村という2000人程度のすごく小さい村落です。今は、市町村合併で岐阜県中津川市に編成されています。東京からは新幹線で名古屋から乗り換えルートで約4時間程度。観光名所としては島崎藤村の出生としても有名な馬籠宿が有名です。

余談ですが、「可知」という苗字はこの辺にすごく多いです。で、こののどかな村落にて、今日のテーマは地域診療について思うことを、示したいと思います。

最近、この山口村にも負けず劣らずの地域にお住いの患者さんから相談を受けました。その患者さんは、年間罹患数200人程度の血液系の超希少疾患と頭頸部扁平上皮がんを合併している方でした。どうにかならないかと、ある先生に相談していたのですが、途中で気づいたのは、もし、治療法があったとしても、おそらくその地域では治療ができないであろうということでした。

血液内科と腫瘍内科が併設している病院でないと、積極的な治療は不可能に近いと感じました。首都圏に住んでいるとわからないことがあります。それは、「地方に住んでいる方は、どこまで進行がん治療に向き合うかえるか」ということです。まともな腫瘍内科医がいない病院なんて、あまたありますし、それどころか、がん治療に関わらず常勤医師が不在の地域もあります。

祖母が入院していた病院は200床程度の地域を支える総合病院ですが、常勤医師数は10年前の半数の8人、年間赤字2億5千万円。夏には病養病床50床を残し、廃止することが決まっています。仮に、祖母が入院したままだったら、別の病院に移管されるか、在宅医療に変更する予定でした。

参考:http://nakatsugawa-hp-vision.jp/

もし、私の父親が進行がんに罹患しても、東京に来るのは断固拒否するでしょう。仕事柄、最先端の情報を報じていますが、父親を説得することはできないと感じていますし、説得するべきではないとも思っています。それだけ、地方に住んでいる方は自分の土地に愛着があるでしょうし、離れようとはしないと思います。だからこそ、地方医療を良くしていかなければならないと思います。

木曽山脈を隔てて、隣にある飯田市出身の佐々木康綱先生は、かねてから週一で飯田市立病院腫瘍内科にて非常勤を担っています。それは、昭和大学教授を退官なさったいまでも変わりません。こういった地道な努力は地方で働く医師の知識の底上げとなるかもしれません。それは小さな一石かもしれませんが、地域医療活性化へむけた布石の気がします。

なお、地域医療となった場合、遠隔診療や遠隔相談に目が向きがちですが、がん医療についてはハードルを感じます。先ほどの我々が対応した患者さんは、まさに遠隔診療相談そのものなのです・・・

相談で回答があったからといって「じゃあ、東京にいきますか?」。そうはならないでしょう。サービスの限界を知りながら真摯に取りくみ、必要であれば、もっと大きい枠踏みで新しいことに挑戦していきたい。

街灯が少ないこの地域で、そう誓います。

可知 健太

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