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【メルマガコラム】慶應義塾大学 河上 裕教授に聞く 免疫チェックポイント阻害薬開発の今後の展開 [vol.19]

[公開日] 2016.11.02[最終更新日] 2016.11.02

コラム

オンコロの可知です。 メルマガでの報告が遅れましたが、CROのインテリム社と「がん辞典」を作成することになりました。インテリム社より、 アップが追い付かないくらい毎日のように単語解説をお送り頂いています。開設当初からやらなければならないけど、手つかずであった辞典開発が加速化できればと思っております。ご期待くださいませ。 さて、去年から北里大学の佐々木治一郎先生の案をベースに「免疫のシゴト」という免疫チェックポイント阻害薬のマンガを作っています。ベータ版は拠点病院等に設置頂きましたが、好評の声を頂きありがたいことです。 その「免疫のシゴト」について佐々木先生と共に監修頂いている、慶應義塾大学の河上裕先生に先週面会しまして、マンガの最終チェックを頂きました。もうすぐ、正式版が完成する予定です。 その際に、免疫チェックポイント阻害薬の開発について、ざっくばらんに聞きました。河上先生はがん免疫分野で最先端の先生であり、日本がん免疫学会の理事長でもあります。 1つは、PD-L1抗体の話題でした。PD-L1抗体は、PD-1抗体よりもパワーが弱いと言われていましたが、PD-L1抗体であるアテゾリズマブがオプジーボやキイトルーダの過去の試験と比べ遜色ない結果を出し始めていることや、PD-L1抗体デュルバルマブとCTLA-4抗体トレメリムマブの併用時の臨床試験結果においてPD-L1発現陰性のがんに対しても奏効しているデータも出てきていたりと、科学的にわからないことだらけだけど、パワーに差がないかもしれないとのことでした。 2つは、併用療法について。もともと、免疫チェックポイント阻害薬の効果が芳しくないがん種というのが、大腸がん、前立腺がん、膵がん、多発性骨髄腫とのことです。それに対して様々なアプローチが試みられているようです。 大腸がんにおいてはマイクロサテライト不安定性大腸がんについては免疫チェックポイント阻害薬が奏効する可能性が出てきました。ただし、マイクロサテライト性安定性大腸がんには効果が乏しいことが問題でした。そういった中、アテゾリズマブとMEK]阻害薬コビメチニブがKRAS遺伝子変異陽性に限定されますが、効果がある可能性が出てきました。 膵がんについては、結果がどうなるかわかりませんが、がんペプチドワクチンとの併用で腫瘍内免疫細胞が増えていること が前臨床試験で確認されており、うまくいくかはわかりませんが、臨床試験結果が待たれるようです。 多発性骨髄腫も別の免疫チェックポイント阻害薬との組み合わせがあるようです。詳しいことはわかりませんでしたが・・・・ その他、河上先生は言及されていませんでしたが、前立腺がんについても欧州臨床腫瘍学会でキイトルーダの単剤、 併用療法の期待できる結果が出てきているのも面白いと思っています。 可知 健太
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