【オンコロメルマガ】父の旅立ち [vol.183]


  • [公開日]2020.10.15
  • [最終更新日]2020.10.15

こんにちは、川上です。

前回、8月のコラムで、がん患者の家族として、すい臓がんの父のことについてメルマガコラムを書きました。

父は、9月5日に、旅立ちました。

私は立ち会うことができませんでしたが、穏やかな最期で、眠るように、枯れるように亡くなりました。

8月12日に、自宅に退院した父は、約3週間、家で過ごすことができました。

退院前に、痛みはオピオイドのパッチでコントロールできていたのですが、消化器症状として、嘔気、また倦怠感が続いている状況でした。

退院当日の午後、近所で6月に開業されたばかりの緩和ケア専門在宅医の先生が、がん看護専門看護師さんと共に訪問してくださり、きめ細かく症状やお話を聞いてくださって、症状緩和の工夫を講じていただき、1週間ほどで症状は落ち着きました。

コロナ禍で、病院では家族の面会もままならない状態でしたが、自宅に戻れたおかげで、退院後の週末、兄弟孫が全員実家に集合し、父と話をすることができました。

退院時にすでに、経口摂取はできない状態でしたが、一度だけ、「すいかが食べたい」と言って、すいかを口にして美味しい、と喜んでくれたそうです。

一人で父を看ることになった母は、はじめ不安が大きかったのですが、訪問看護師さん、往診の先生が皆さん、とても頼りになることがわかり、点滴の交換や清拭も覚えて、富士山が見えるリビングに設置したベッドの横で寝ながら、父の介護を頑張りました。

最後の1−2週間の父の訴えといえば、「背中がかゆい」ことで、母は、30分から1時間近く、背中を掻いてあげることもあったようです。

私が最後に父に会ったのは、亡くなる直前の週末でした。その時も、まだ、少し話はできる状態でした。

最期の日の朝、母から「点滴が落ちていかない」と電話があり、血圧が低下しているのでは、と、訪問看護師さんをすぐ呼ぶよう伝えました。

看護師さんが到着した時に、だんだんと呼吸が浅くなり、そして、亡くなったそうです。

自宅へ退院してからの経過をざっくりと書きましたが、本当に、穏やかに過ごすことができ、また、家族もお別れの時間を共に持つことができました。

生前から家族思いの父でしたが、亡くなり方も家族への思いやりに溢れていたと感じます。

亡くなりかたは、人それぞれかと思いますが、このような亡くなり方もある、ということをお伝えしたかったのと、皆さんへのご報告の意味を込めて、コラムを書きました。

在宅医療を家族として初めて体験しましたが、本当に尊い仕事だと感じます。

短い間でしたが、お世話になった、「くげぬま緩和ケア内科」の小川賢一先生、がん看護専門看護師の日塔裕子さん、訪問看護ステーション「かがやき」のスタッフの皆様には、本当に感謝ばかりです。

これから、亡くなった後の諸手続きが盛りだくさんです。

兄弟3人で、母を支えていこうと思います!

川上 祥子

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