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【オンコロメルマガ】コロナ、がん患者が留意すること [vol.154]

[公開日] 2020.03.25[最終更新日] 2020.03.25

オンコロの可知です。 コロナウイルスことCOVID-19。 その脅威等医学的なことについては様々な識者が言及していますので触れませんが、とうとうオリンピック延期等いうことで、経済的な打撃がものすごく心配ですね。 スーパーコンサバティブ業界である製薬会社は、いち早く在宅勤務導入などされており、当社の業務にも影響は出始めております。 そして、今年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)は延期か、バーチャル実施とのことですね。 昨日、24日に「通常通り直接は開催できない」という通達が出ていました。 https://meetings.asco.org/am/asco-statement-novel-coronavirus-covid-19(英語サイトになります) さて、がん患者の皆さん。 がん治療に対するコロナの影響気になりますよね? 「手術を控えているんだけど・・・」「薬物治療していいの?」「免疫チェックポイント阻害薬への影響は?」 ASCOではそれらの問いに対してホームページ上で述べております。 https://www.asco.org/asco-coronavirus-information/care-individuals-cancer-during-covid-19(英語サイトになります) 後ほど、オンコロ編集部で記事にしますが、おおむね次のようなことが書かれています。 1.中国におけるCOVID-19の患者の前向きコホート研究において、1571人の患者中18人にがんの既往があり、がんの既往のある患者は重篤なイベントの発生率が高いことがわかりました。 他の患者と比較した場合の死亡率やCOVID-19感染の発生率の決定的な増加は確立しませんでした。 ただし、18人という特定の方のみという状況に注意が必要です。(Liang et al、Lancet Oncol) 2.特定のがん種(例、乳房、肺)、治療(免疫療法、チロシンキナーゼ阻害薬)、または小児がん患者や高齢者がん患者等に対するケアに関するエビデンスは確立されていません。 3.手術について、アメリカ疾病管理予防センターの医療機関向けガイダンスでは、可能な場合、手術はリスケジュールすることを示唆しています。 ただし、医師と患者は、手術の遅延の潜在的なリスクに基づいて個々の決定を行う必要があります。 4. ASCOは、進行が速い可能性のあるがんの場合、治療が遅れるリスクはCOVID-19の曝露/感染のリスクを上回るが、(緩和目的などの)緩和的な放射線を受けている患者、または放射線治療のスケジュールの変更により進行リスクが低い患者は遅らせることのメリットがある可能性があります。 患者は、放射線腫瘍医と相談して、治療に最も適切な行動方針を決定する必要があります。 5. 現時点では、化学療法または免疫療法の変更等を支持する直接的なエビデンスはありません。 したがって、重要な薬物療法または免疫療法を中断や変更することは推奨されません。 COVID-19感染の予防等に対する薬物療法の遅延または中断から生じるリスクとベネフィットのバランスは非常に不確かとなります。 ただし、「維持療法の中断の考慮」や「投与経路静脈投与から経口療法に切り替え」「医療機関の衛生状況への加味」「アジュバント療法の遅延または変更の考慮」などケースバイケースで考慮する必要があります。 他にも幹細胞移植のことや好中球減少症に対してなど、多くのことが書かれていますが、メルマガでは割愛します。 また、アメリカ国立がん研究所(NCI)も「コロナウイルス:がん患者は何を知るべきか?」というタイトルで情報を出していますね。 (ざっと調べたところ厚労省はこういったがん患者向けの情報は出していませんね・・・間違っていたらごめんなさい) https://www.cancer.gov/contact/emergency-preparedness/coronavirus?cid=eb_govdel(英語サイトになります) ちなみに、日本臨床腫瘍学会は以下のようなQ&Aを出しております。 新型コロナウイルス感染におけるがん患者への対応 Q&A Q1. 現在抗がん剤治療を受けています。新型コロナウイルスに関して注意することはありますか。 A1. 新型コロナウイルスで重症化する患者さんの特徴は十分解明されていませんが、がんを患っていることや抗がん剤の治療を受けていることは、肺炎など重症化のリスクである可能性があります。 抗がん剤治療を受けていると、感染に対する抵抗力が低下している可能性があります。 感染を防ぐことが極めて重要ですので、人混みを避け、手洗いなど一般的な衛生管理をお願いします。 Q2. 以前抗がん剤の治療を受けていましたが、新型コロナウイルスに関して注意することはありますか。 A2. 比較的近い過去(1~2年以内)がん治療経験された方は、免疫力が若干弱くなっている場合があり、新型コロナウイルスに感染や重症化のリスクがあることは否定できません。 感染を防ぐことが極めて重要ですので、人混みを避け、手洗いやマスク着用など一般的な衛生管理をお願いします。 Q3. がん患者で新型コロナウイルス罹患が疑われる場合、診療で留意する点はありますか。 A3. 明らかなエビデンスはないものの、CDCのガイダンス(2020年1月30日付け)では、がんの罹患は重症化リスクの一つであるとされています。 免疫抑制状態もリスク因子とされているため、抗がん剤治療を受けている患者はさらに厳重な注意が必要です。 新型コロナウイルス感染が確認された場合は、速やかな感染対策の上、丁寧なモニタリングを行い、必要に応じて治療の一時中止や延期を考慮する必要があります。 と言ったように、当然のことながら、がん患者に対するコロナウイルスの感染や重篤化への影響はわかりません。 一方、病院への来院や入院頻度は健常人に比較すれば多いわけであり、このあたりの配慮は十分に行うべきなんだろうなと。 結局は、当たり前のことしか述べてませんが、それを公的な機関や学会が情報発信していることを知っているか知らないかは大きい差であるかもしれませんので、状況共有とさせてもらいました。 可知 健太
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