抗PD-1/PD-L1抗体薬治療歴のある進行性悪性黒色腫に対する抗LAG-3抗体薬レラトリマブ+抗PD-1抗体薬オプジーボ、抗腫瘍活性を示すJournal of Clinical Oncologyより


  • [公開日]2023.02.17
  • [最終更新日]2023.02.17
この記事の3つのポイント
・抗PD-1/PD-L1抗体薬治療歴のある進行性悪性黒色腫(メラノーマ)患者が対象の第1/2a相試験
・抗LAG-3抗体薬レラトリマブ+抗PD-1抗体薬オプジーボ併用療法の有効性安全性をレラトリマブ単剤と比較検証
・客観的奏効率前治療歴が1レジメン群(コホートD1)で12.0%、1レジメン以上群(コホートD2)で9.2%を示した

2月13日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて抗PD-1/PD-L1抗体薬治療歴のある進行性固形がん患者に対する抗LAG-3抗体薬であるRelatlimab(レラトリマブ:BMS-986016)+抗PD-1抗体薬であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)併用療法の有効性、安全性を検証した第1/2a相試験のRELATIVITY-020試験(NCT01968109)のうち、進行性悪性黒色腫(メラノーマ)患者を対象にしたパートDの結果がMelanoma, Cancer ImmunotherapyのPaolo Antonio Ascierto氏らにより公表された。

RELATIVITY-020試験は、抗PD-1/PD-L1抗体薬治療歴のある進行性悪性黒色腫(メラノーマ)患者(N=518人)に対して、レラトリマブ(BMS-986016)単剤療法を実施する群、もしくはレラトリマブ(BMS-986016)+オプジーボ併用療法を実施する群に振り分け、主要評価項目として安全性、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間PFS)などを検証したオープンラベルの第1/2a相試験である。

なお、コホートD1は抗PD-1/抗PD-L1抗体薬を含む前治療歴が1レジメンの患者(N=354人)、コホートD2は抗PD-1/抗PD-L1抗体薬を含む前治療歴が1レジメン以上の患者(N=164人)の患者が登録されている。

本試験が開始された背景としては、第2/3相のRELATIVITY-047(CA224-047)試験にて、未治療の転移性/切除不能悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対する抗LAG-3抗体レラトリマブ(BMS-986016)+抗PD-1抗体薬オプジーボ併用療法は、オプジーボ単剤療法に比べて主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善することが示されている。以上の背景より、抗PD-1/PD-L1抗体薬治療歴のある悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対する抗LAG-3抗体レラトリマブ(BMS-986016)+抗PD-1抗体薬オプジーボ併用療法有用性を検証する目的で本試験が開始された。

なお、RELATIVITY-020試験と類似した臨床試験として、抗PD-1/PD-L1抗体薬治療歴のある転移性/切除不能悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対して抗CTLA-4抗体薬ヤーボイ(一般名:イピリムマブ、以下ヤーボイ)+抗PD-1抗体薬オプジーボ併用療法の有用性を検証したSWOG S1616試験がある。同試験の結果、客観的奏効率(ORR)はヤーボイ+オプジーボ併用療法で28%、ヤーボイ単剤療法で9%を示している。(参考:American Association for Cancer Research Annual Meeting 2022 Abstract#CT013

本試験の結果、客観的奏効率(ORR)はコホートD1で12.0%(95%信頼区間:8.8-15.8%)、コホートD2で9.2%(95%信頼区間:5.2-14.7%)を示した。また、副次評価項目である奏効持続期間(DOR中央値はコホートD1で未到達(95%信頼区間:12.9ヶ月-未到達)に対してD2コホートで12.8ヶ月(95%信頼区間:6.9-12.9ヶ月)、無増悪生存期間(PFS)中央値はコホートD1で2.1ヶ月(95%信頼区間:1.9ヶ月-3.5ヶ月)に対してD2コホートで3.2ヶ月(95%信頼区間:1.9-3.6ヶ月)を示した。

一方、安全性としてグレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)の発生率はコホートD1で15.0%、コホートD2で12.8%であった。パートD全体では、グレード3の心筋炎が1人、治療関連による死亡は確認されなかった。

以上のRELATIVITY-020試験の結果より、Paolo Antonio Ascierto氏らは「抗PD-1/抗PD-L1抗体薬治療歴のある進行性悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対する抗LAG-3抗体薬であるレラトリマブ(BMS-986016)+抗PD-1抗体薬オプジーボ併用療法は、持続的な抗腫瘍活性を示し、安全性も管理可能なものでした」と結論を述べている。

Nivolumab and Relatlimab in Patients With Advanced Melanoma That Had Progressed on Anti–Programmed Death-1/Programmed Death Ligand 1 Therapy: Results From the Phase I/IIa RELATIVITY-020 Trial(J Clin Oncol. 2023 Feb 13;JCO2202072. doi: 10.1200/JCO.22.02072.)

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