MSI-HighまたはdMMRの進行性転移性固形がんに対する術前療法としての抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法、病理学的奏効率65%を示すJournal of Clinical Oncologyより


  • [公開日]2023.02.02
  • [最終更新日]2023.01.30
この記事の3つのポイント
・高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)またはミスマッチ修復機構欠損(dMMR)の進行性転移性固形がん患者が対象の第2相試験
・術前療法としてのキイトルーダ単剤療法の有効性安全性を検証
・有効性評価可能患者(N=33人)における全奏効率は82%、病理学的完全奏効率は手術を実施した患者(N=17人)で65%を示した

2023年1月9日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)またはミスマッチ修復機構欠損(dMMR)の進行性転移性固形がん患者に対する術前療法としての抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ、以下キイトルーダ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT04082572)の結果がThe University of Texas MD Anderson Cancer CenterのKaysia Ludford氏らにより公表された。

本試験は、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)またはミスマッチ修復機構欠損(dMMR)の進行性転移性固形がん患者に対する術前療法として、3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg単剤を最大6ヶ月投与し、その後手術を実施し、選択により最大1年間の治療継続をし、主要評価項目として病理学的完全奏効率(pathological Complete Response)、安全性、重要な副次評価項目として奏効率、手術を受けなかった患者における臓器温存率を検証した単施設オープンラベルの第2相試験である。

本試験が開始された背景として、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)またはミスマッチ修復機構欠損(dMMR)の進行性転移性固形がんに対する抗PD-1抗体薬キイトルーダは臨床的意義のある治療法であることが示されている。しかしながら、術前療法としての抗PD-1抗体薬キイトルーダの有用性は明らかでない。以上の背景より高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)またはミスマッチ修復機構欠損(dMMR)の進行性転移性固形がん患者に対する術前療法としての抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験に登録された35人の患者(大腸がん27人、非大腸がん8人)における結果は下記の通りである。有効性評価が可能であった33人における全奏効率(ORR)は82%、主要評価項目である病理学的完全奏効率(pathological Complete Response)は手術を実施した17人(49%)の患者で65%を示した。

一方の安全性として、本試験で新たに確認されたキイトルーダの有害事象(AE)はなく、既存の臨床試験で確認されている安全性プロファイルと一致している。

以上の第2相試験の結果よりKaysia Ludford氏らは「高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)またはミスマッチ修復機構欠損(dMMR)の進行性転移性固形がん患者さんに対する術前療法としての抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法は忍容性が良好であり、高率な病理学的完全奏効率(pathological Complete Response)を示し、臓器温存の道を示唆しています」と結論を述べている。

Neoadjuvant Pembrolizumab in Localized Microsatellite Instability High/Deficient Mismatch Repair Solid Tumors(J Clin Oncol. 2023 Jan 9;JCO2201351. doi: 10.1200/JCO.22.01351.)

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