転移性トリプルネガティブ乳がんに対するファーストライン治療としてのダトポタマブ デルクステカン+イミフィンジ、客観的奏効率73.6%を示す英・アストラゼネカ


  • [公開日]2023.01.26
  • [最終更新日]2023.01.05
この記事の3つのポイント
・未治療の転移性トリプルネガティブ乳がん患者が対象の第1b/2相試験
ファーストライン治療としてのダトポタマブ デルクステカン+イミフィンジ併用療法の有効性安全性を検証
・客観的奏効率は73.6%を示し、内訳は完全奏効4人、部分奏効35人であった

英アストラゼネカ社は2022年12月9日、米国・サンアントニオで開催されたサンアントニオ乳がんシンポジウム(2022 San Antonio Breast Cancer Symposium)にて未治療の転移性トリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者に対するファーストライン治療としての抗TROP2抗体薬物複合体であるdatopotamab deruxtecan(ダトポタマブ デルクステカン:Dato-DXd)+抗PD-L1抗体薬であるイミフィンジ(一般名:デュルバルマブ、以下イミフィンジ)併用療法の有効性、安全性を検証した第1b/2相のBEGONIA試験(NCT03742102)の結果を公表した。

BEGONIA試験は、未治療の転移性トリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者(N=61人)に対するファーストライン治療としてイミフィンジ+抗がん剤±パクリタキセル併用療法を実施し、主要評価項目として安全性、忍容性副次評価項目として主治医評価の客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間PFS)、奏効持続期間(DOR)、全生存期間OS)などを検証したオープンラベル多施設共同の第1b/2相試験である。なお、イミフィンジ+ダトポタマブ デルクステカン併用療法は本試験の複数あるアームの内PART7である。

本試験の結果、客観的奏効率(ORR)は73.6%(95%信頼区間:59.7-84.7%)を示し、奏効の内訳は完全奏効(CR)が4人、部分奏効(PR)が35人であった。なお、奏効率はPD-L1ステータスに関係なく確認されている。

一方の安全性として、最も多くの患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は吐き気が57.4%、口内炎が55.7%、脱毛症が45.9%、疲労が39.3%、便秘が39.3%、発疹が27.9%、嘔吐が21.3%であった。重篤な治療関連有害事象(TRAE)は16.4%(N=10人)で確認され、治療関連有害事象(TRAE)による治療中止は6.6%(N=4人)の患者で確認された。なお、用量制限毒性DLT)は1人の患者でも確認されていない。

以上のBEGONIA試験の結果より、アストラゼネカ社のChief Medical Officer and Oncology Chief Development OfficerのCristian Massacesi氏は「未治療の転移性トリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者に対するファーストライン治療としての抗TROP2抗体薬物複合体ダトポタマブ デルクステカン+抗PD-L1抗体薬イミフィンジ併用療法は良好な抗腫瘍効果を示しました。このデータは、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対するダトポタマブ デルクステカンの併用療法ならびに単剤療法の役割の可能性を明確にするものです」と結論を述べている。

Datopotamab deruxtecan showed promising responses as monotherapy and in combination with Imfinzi in patients with metastatic triple-negative breast cancer in two early trials(AstraZeneca PressReleases)

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