ASH 2022 プレビュー – Brukinsaがカルケンスより優位に立つEvaluate Vantage(2022.11.23)より


  • [公開日]2022.12.09
  • [最終更新日]2022.12.07

※本記事はEvaluate社の許可のもと、オンコロが翻訳したものです。内容および解釈については英語の原文を優先します。正確な内容については原文をお読みください。

Brukinsaは真っ向勝負でイムブルビカに勝利したことが確認され、ベイジーン社のBTK阻害剤もカルケンスより優れているようだ。

英アストラゼネカ社のカルケンス(一般名:アカラブルチニブ)は、イムブルビカ(一般名:イブルチニブ)の最も得意とする慢性リンパ性白血病(CLL)の治療に挑戦し、他社が倒すべきBTK阻害剤となった。昨日(2022年11月22日)、ASH(米国血液学会)の最新の注目演題の中で、中ベイジーン社のBrukinsa(一般名:ザヌブルチニブ)がまさにこれを達成したことを示唆した(少なくとも試験間比較において)。

ベイジーン社のAlpine試験は、先日発表されたASHの注目演題6本の抄録に含まれており、Brukinsaがイムブルビカにどれほど勝っているかを示している。それにもかかわらず、ベイジーン社の株価は9%下落した。おそらく、無増悪生存期間PFS)の利点が長期的に維持されるかどうかという懸念からか、あるいはベイジーン社の投資家は、10月11日から55%上昇した株価の帳尻合わせと捉えたのだろう。

この高騰は、再発/難治性CLLを対象とした臨床試験であるAlpine試験の結果をベイジーン社が初めて公表したことがきっかけとなったものである。欧州(EU)が6日前に、Sequoia試験Alpine試験それぞれに基づき、未治療または再発/難治性CLLにBrukinsaを承認したとき、その勢いは止まらなかった。しかし、Alpine試験のPFS中央値やその他の安全性データは非公開のままであり、ASHの抄録でようやく明らかになった。

米国で承認されている3つのBTK阻害剤の間で、激しい競争が繰り広げられることになりそうだ。今のところ、米ジョンソン&ジョンソン社のイムブルビカとカルケンスだけがCLLを添付文書に載せているが、ベイジーン社のBrukinsaの申請については、1月20日までに米国食品医薬品局(FDA)が決定することになっている。ASHの抄録によると、承認はまず間違いないようだ。

Alpine試験では、Brukinsaはイムブルビカに対して進行リスクを35%削減し、p値0.0024で優越性の基準を満たした。一方、アストラゼネカ社のElevate-RR試験では、カルケンスはイムブルビカに対して非劣性を示し、PFSの中央値は同等だった。8月の時点で、Alpine試験のPFSは中央値に達していないが、24カ月PFS率は80%で、カルケンスのElevate-RR試験における70%に勝っている。


PFS curves for Calquence vs Imbruvica in Elevate-RR, presented at Asco 2021.


PFS curves for Brukinsa vs Imbruvica in Alpine, to be presented at Ash 2022.

Brukinsaのもう1つの重要な勝利は、難治性の17p欠失変異を有するCLL患者において、イムブルビカに対するPFSの圧倒的な優位性であり、この点でカルケンスは、ジョンソン&ジョンソン社の薬剤に対する優位性を示していなかった。

Alpine試験のデータに懸念があるとすれば、PFSの延長効果が長期間の追跡で失われる可能性があることである。PFS曲線は中央値よりかなり手前で打ち切られているが、これはコホート間で不釣り合いではないようである。OSのデータは抄録には記載されていない。

アストラゼネカ社のElevate-RR試験で印象的であったのはOSであり、有意差はないものの、カルケンス群はイムブルビカ群に比べて死亡率が18%低いことが示された。これは、心房細動などの毒性を伴うイムブルビカに対して、カルケンスの安全性プロファイルが優れているためだと思われる。

しかしこの点でもBrukinsaは優位性を示している。Alpine試験での心房細動発生率は5%で、イムブルビカの13%より頻度が低く、試験間比較ではカルケンスの9%と比較しても優れた成績である。Elevate- RR試験では、カルケンスは重症心房細動の割合ではイムブルビカより(患者数は少ないものの)優れておらず、Alpine試験のこの指標に関する情報がASHで待ち望まれるところである。

BTK市場がどうなるかについては、3社の価格戦略に大きく依存するのは明らかである。Evaluate Pharma社がまとめた証券会社のコンセンサス売上予測では、カルケンスは2028年にイムブルビカの売上高55億ドルにほぼ追いつくが、Brukinsaはこれに遅れをとり、売上高は25億ドルにとどまると予想されている。

ベイジーン社は明らかに逆転を狙っており、ASHのデータはその期待を裏付けている。

ASHは12月10日から13日まで米国ルイジアナ州ニューオリンズで開催される予定。

■出典
ash-2022-preview-brukinsa-has-edge-over-calquence

×

会員登録 ログイン